東京都の「特別養護老人ホーム」申込者は約3万人。「要介護3」以上が9割
東京都の「特養」調査
東京都が、「特別養護老人ホームへの入所申込等に関する調査」の結果を公開しています。
この調査は、2019年4月1日時点の東京都内の特別養護老人ホームへの入所申込者を調べたものです。
特別養護老人ホームは「在宅での生活が困難になった要介護の高齢者」が入居できる公的な施設で、「特養(とくよう)」とも呼ばれます。
特養は、要介護度の高い高齢者が、比較的安い料金で入所できるため申込者が多く、入所を待っている人が多くなっています。
3万人が申し込み、1万5千人が入居
調査時点の入所申込者数は「29,126人」でした。
3年前の調査よりも減少していますが、まだ3万人近くの人が申し込みをしている状態です。
東京都の特養の定員は「48,127人」ですが、2018年度に新たに入所した人は「15,283人」でした。
つまり、新規に入居できる人が約1万5千人のところに、約3万人が申し込んでいることになります。
特養に入所できる人は、申込者の半分ぐらいと思えば良いでしょう。
なお、申込者のうち、「特養」が主に対象としている「在宅で要介護度3以上」の人だけで「10,935人」もいます。
入所の選考にあたっては、この人達が優先されるので、「在宅ではない」人や、「要介護度が3未満」の人が入所できる確率はかなり低いことが分かります。
申込者の9割近くが「要介護3」以上
実際に申込者の要介護度を見ると、ほぼ9割が「要介護3」以上となっています。
内訳を見ると、「要介護3」と「要介護4」が多く、「要介護5」と合わせると、ほぼ9割になります。
「特養」の入居者は、2015年から「要介護3」以上が基本となっていますから、それが反映されているということでしょう。
また、「要介護1」や「要介護2」の入所は「特例入所」と呼ばれ、特別な事情がある場合に限られています。
そのため、「要介護1」や「要介護2」の申込者は、合わせて1割ぐらいに留まっています。
「在宅ではない」人の方が多い
「特養」は、「在宅」の人が優先される施設です。
では、「在宅ではない」とは、どこに住んでいる人のことを指すのでしょう。
例えば、病院、有料老人ホーム、サービス付き高齢者住宅(サ高住)、そして特養以外の介護老人保健施設に入居している人は、「在宅ではない」と判断されます。
しかし、特養に申し込む人は、要介護度が高い人が中心ですから、実際には「在宅」の人よりも、「在宅ではない(非在宅)」の人の方が多くなっています。
これだけ多いのですから、自分の家族の申し込みをするときに、「在宅ではないから特養には入れない」と遠慮する必要はありません。
まず介護認定から始めよう
東京都の「特養」の状況は、3年前とあまり変わっていないことが分かりました。
しかし、「特養」は、要介護度の高い人にとって、魅力的な施設であることも変わりません。
まず、地元の「地域包括支援センター」に相談し、要介護認定を受けてから、施設の見学や入居の申込みをしましょう。
申し込みをするときは、「どうしてその施設に入りたいのか」ということを中心に、入居希望者を取り巻く状況を正確に伝えるように心がけてください。