上場企業の「早期/希望退職」が3倍に急増。1万人以上が対象に
36社が実施、1万人以上が対象に
企業情報調査会社の東京商工リサーチが、上場企業の「早期/希望退職」の実施状況を公開しています。
2019年に行なわれた「早期/希望退職」は、上場企業とその子会社を合わせて36社でした。
対象となった人員は「11,351人」に及びます。
2018年の3倍に増加
1年前の2018年には「早期/希望退職」は、12社、4,126人でした。
2019年は、会社数で3倍、人員数でも2.7倍に増加しました。
また、2019年の「早期/希望退職」では、募集/応募の人員数が1,000人を超える、大規模な構造改革(リストラ)を実行した会社が4社ありました。
内訳は、富士通が2,850人、ルネサスエレクトロニクスが約1,500人、東芝が1,410人、ジャパンディスプレイが1,200人で、電気機器などの製造業が中心でした。
2020年は小売業などでも実施
2020年は、製造業以外の業種にもリストラが及ぶ見込みです。
例えば、三越伊勢丹ホールディングスでは、3月に閉店を予定している新潟三越の従業員らを対象にした希望退職支援制度に約67億円の資金を用意しています。
店舗の撤退が続く小売業では、同様の動きがみられる可能性が高いでしょう。
必要な人材は取り、不要な人材は社外に出す時代
2019年は「早期/希望退職」が増えたと言っても、リーマンショック直後の2009年のような爆発的な増加ではありません。
しかし、2019年型のリストラは、必要な人材は中途採用でも取り、不要な人材は「早期/希望退職」で社外に出すという姿勢が、にじみ出てきています。
例えば、みずほ証券のように、定期的に希望退職者を募集する企業も出現しています。
これは、自ら希望する人を対象にした社内制度で、半年以内に次のキャリアが決まらなかった場合は応募の撤回も可能です。
このように、「セカンドキャリアの形成」や「社外組織での活躍」をテーマにした「早期/希望退職」は、今後も増加することでしょう。
この場合、年齢も条件とはなりますが、もう一つ重要な要素があります。
それは、自分自身が、企業の将来展望にとって必要な人材であるかどうかということです。
役職や年齢に関わらず、それが厳しく問われる時代になったということは覚悟しておきましょう。