2019年の老人福祉事業者の倒産は過去最多。負債総額も過去最大

[2020/1/29 00:00]

倒産件数は過去最多

企業情報調査会社の帝国データバンクが、老人福祉事業者の倒産の調査結果を公開しています。

これは、負債が1,000万円以上で、倒産などの法的整理を行なった老人福祉事業者の統計をまとめたものです。

2019年の老人福祉事業者の倒産件数は「96件」で、過去最多となりました。

負債総額は「161億1,800万円」で、こちらも過去最大となっています。

出典:帝国データバンク

「訪問介護」が半分以上を占める

倒産した事業者を業態別に見ると、自宅に介護職員を派遣する「訪問介護」が53%で、半分以上を占めています。

以下、「通所介護」「老人ホーム」「高齢者向け住宅」などが続きます。

零細事業者が多いが大型倒産もある

倒産した事業者の9割以上は、事業を継続できない「破産」を選択しています。

負債別では「5千万円未満」、業歴別では「10年未満」が多く、帝国データバンクでは『業歴の浅い零細事業者が大半を占める』としています。

一方で、2019年1月に民事再生法を申請した、介護付き終身利用型老人ホーム「未来倶楽部」のように、負債総額が53億8,626万円に上る大型の倒産も起きています。

倒産が多い都道府県は「大阪府」

倒産した事業者が多い都道府県は、「大阪府(19件)」でした。

以下、「神奈川県(10件)」「東京都(8件)」と人口が多い都会が続きます。

大きな決断の前には財務の調査も

老人福祉事業者の倒産は、介護保険によるサービスの利用者にとっては災難としか言いようがありません。

「訪問介護」のように代わりになる業者が多い場合はまだ良いのですが、「老人ホーム」や「高齢者向け住宅」のように自分の人生を預けてしまっていると被害が大きくなります。

大きな決断をする前は、ホームページで決算資料を見るなどして、その法人の経営状況を確認してください。

[シニアガイド編集部]