神戸市の無料認知症検査、開始1年で千人以上の認知症患者を発見
認知症「神戸モデル」の開始から1年
神戸市は、2019年1月に開始した認知症の無料診断により、1年間に千人が認知症と診断されたと発表しました。
神戸市では、認知症「神戸モデル」として、認知症の診断助成制度と、認知症患者による事故救済制度を行なっています。
開始から1年を経た、「神戸モデル」の現状を紹介しましょう。
無償診断で千人以上が認知症と確認
認知症の診断助成制度は、65歳以上の市民が認知症検査を受ける場合に、無料で診断を受けることができます。
診断助成制度の運営開始から1年間で、8,718人が認知機能検診を受診し、最終的には1,137人が認知症と診断されました。
また、認知症の一歩手前の段階である、軽度認知障害(MCI)と診断された人が483人いました。
診断助成制度に対しては、次のようなコメントが寄せられています。
- 制度ができて受診するきっかけとなった。
- 検診を受け、自分の状態が確認できた。
- 運転免許の自主返納のきっかけとなった。
認知症ではないかという不安を持つ市民にとって、診断助成制度が有効に働いたことが分かります。
事故による事例は3件発生
また、事故救済制度では、認知症と診断された人が起こした事故に対して、賠償責任保険と見舞金が用意されています。
この制度では賠償責任保険は最高2億円、見舞金は最高3千万円までカバーされます。
制度開始からの1年間で、賠償責任保険が1件、見舞金が2件発生しましたが、高額な支払いは発生しませんでした。
また、自己救済制度については、次のようなコメントが寄せられています。
- 賠償責任保険に入れたので安心して外出できる。
- 家族に安心してもらえる。
- (高額な賠償が請求された)JR鉄道事故以来の不安が薄らいだ。
国レベルでの制度化を目指す
神戸市では、認知症「神戸モデル」の今後の展開として、次の2点を挙げています。
- 診断後支援の充実
認知症の早期受診が進む中、診断後の日常生活への支援の充実が必要。 - 国での制度化
神戸モデルの取組みについて、国に対して、全国制度化を要望。
「神戸モデル」では、財源を市民税均等割の上乗せとしており、市民一人当たり1年に400円を負担しています。
認知症に関わる費用を広く薄く負担することで、認知症の診断や日常生活の事故などの不安を解消できる「神戸モデル」が、どこまで受け入れられるか、他の自治体や国の反応が注目されます。