新型コロナウイルスで変わった葬儀の姿

[2020/3/10 00:00]

葬儀社に聞いた「新型コロナウイルスの影響」

葬祭紹介業の「よりそう」が「新型コロナウイルス感染拡大に伴う葬儀の変化」についてのアンケート結果を公開しています。

2020年2月から3月にかけて行なわれたインターネット調査には、葬儀社64社が回答しています。

アンケート結果をもとに、葬儀を行なう家族ができる対策と、葬祭業者が行なう対策について紹介します。

家族ができる2つの対策

家族ができる感染予防対策は、2つあります。

1つは、「家族葬や密葬を選ぶ」ことです。

家族葬や密葬とすることで、葬儀に集まる人数を最小限にできます。

葬儀社からは「前回は一般葬をあげたリピーターのお客様が、コロナウイルスを懸念して今回は家族葬を選んだ」「参列者を呼ぶ範囲について相談された」といった声が聞かれました。

もう1つの対策は、葬儀の場における感染予防対策です。

「料理をとる際の菜箸を参列者全員分用意してほしい」「葬儀スタッフは全員、式の最中であってもマスクを着用していてほしい」など、マナー違反等を懸念して葬儀社が提案しづらい対策を家族側から提案する例も見受けられます。

葬儀社もマスク着用を徹底

一方、葬儀社が行なっている予防対策としては、次の3つが挙がっています。

  • アルコール消毒液を設置。物品受け渡しの機会が多い葬儀には必須
  • 通常は「マナー違反」でもスタッフのマスク着用を徹底、張り紙等で理解を求める
  • 「一般参列者は焼香のみ」濃厚接触の機会を徹底的に見直した葬儀も

「アルコール消毒液の設置」は、葬儀では香典など、参列者相互の物品受け渡しを通じた濃厚接触の機会が多いことから、大多数の葬儀社が導入しています。

また、「スタッフのマスク着用」も行なう葬儀社が増えています。通常は「マナー違反」とされる行為なので、スタッフがマスクをお着用することについての張り紙や、直接の説明が欠かせません。

「一般参列者は焼香のみ」とするのは濃厚接触を避けるためです。例えば、「親族の了承のもと、一般参列者の儀式着座を断り、焼香のみの会葬として参列」する形式とします。

つまり、家族以外の参列者にはイスを用意せず、入場したら焼香だけして、退出してもらうわけです。

葬儀の場で実践できる3つのポイント

アンケート結果をもとに、「よりそう」が葬儀の場で実践できる感染症対策のポイントを挙げています。

  • マスク着用、手洗い、アルコール消毒への相互理解を
  • お食事は「取り分け済み」状態で提供
  • 葬儀の開式自体が不安な場合は「直葬後、お別れ会を後日開催」検討も視野に

「マスク、手洗い、アルコール消毒」は、感染症対策の基本です。現時点ではマナーよりも予防を優先しましょう。

葬儀の際に振る舞われる食事は、ビュッフェ形式が増えていますが、菜箸やトングが必要となるため、接触感染のリスクが高まります。

ビュッフェ形式であっても配膳係が全て取り分けるようにしたり、仕出し弁当に切り替えるなど「取り分け済み」の状態で料理が行き渡る形式に変更することを検討します。

また、政府からの勧告や連日の報道が「集団が一堂に会すること」自体の自粛を促していることから、葬儀を開くこと自体に不安を抱く人もいます。

例えば、直葬によって故人を少人数で見送り、感染症リスクが収束したころにお別れ会を実施するなど、時期を改めて一堂に会する機会を設けることも検討してください。

悔いのない形で見送れるように相談と決断が必要

葬儀は、急に発生し、いつ営むことになるのか時期が予測できません。

一方、故人とのお別れの場面は死去から荼毘(だび)に付すまでの間に限定されるうえ、一度機会を失うとやり直しができません。

故人を悔いなく見送るためにも、喪主や家族の心情を抜きに考えることはできません。

現在は、新型コロナウイルス感染症によって、不特定多数の人が一カ所に集まること自体がためらわれる状況です。

家族や葬儀社と話し合った上で、喪主の決断が求められます。

[シニアガイド編集部]