「緊急事態宣言」によって、強制的にテレワークを実施する企業が3倍に

[2020/4/17 00:00]

企業財務の幹部にアンケート

一般財団法人 日本CFO協会が、テレワークに関する調査結果を公開しています。

2020年4月7日から13日にかけて行なわれたインターネット調査には、241人の最高財務責任者(CFO)または経理/財務幹部が回答しています。

緊急事態宣言の前後で大きな差

この調査は、緊急事態宣言後に行なわれていますが、日本CFO協会では緊急事態宣言の前にも同様の調査を行なっています。

テレワークの実施状況について、2つの調査結果を比較してみましょう。

テレワークについて「強制的に実施」している割合は、緊急事態宣言前は「7%」でしたが、今回の調査では「20%」と、ほぼ3倍に増えています。

また、「強制していないが強く推奨」している割合も、宣言前の「34%」から、「53%」に増えました。

緊急事態宣言が行なわれたことによって、テレワークを行なうように働きかける会社が増えたことが分かります。

出典:日本CFO協会のデータをもとに編集部が作成

満足している人は3人に1人

今回の調査で「テレワークの状況に満足している」と答えた人は「32%」に留まりました。

つまり、現在のテレワークに満足している人は3人に1人しかいません。

満足していない人の方が多く、「40%」もいます。

出典:日本CFO協会のデータをもとに編集部が作成

不満の原因は「書類のデジタル化ができていない」

テレワークに満足していない理由で一番多いのは「書類のデジタル化が進んでいないから」です。

テレワークに満足していない人の7割以上がこれを挙げています。

また、「アクセス環境(VPNなど)が整っていないから」と「(テレワークでは)作業がはかどらないから」も4割を超えています。

この3つが、テレワークに対する主な不満と言って良いでしょう。

環境に関することを除くと、自宅では集中できずに作業がはかどらないなど、テレワークに不慣れなことが原因となっています。

今回のような非常時だけではなく、通常の勤務でもテレワークを組み入れるなどの工夫が必要でしょう。

ふだんから環境を整えて置かないと、いざというときにできない

今回の調査ではテレワークについて、2つのことが分かりました。

  • 新型コロナウイルスによる緊急事態宣言は、テレワークの普及に強く影響している
  • 体制が整っていない状態でテレワークを開始した企業が多く、テレワークに対して不満を抱いている人が多い

緊急事態宣言によって、見切り発車的にテレワークを強制している企業では、テレワークの前提である「書類のデジタル化」や「承認システムの電子化」が進んでおらず、テレワークだけでは作業が完結しません。

結局、過去の書類の確認や、決済のハンコをもらうために、出社しなければならないような状況にあるのでしょう。

テレワークを効果的に使うためには、普段からの体制づくりや、各社員にテレワークに慣れさせることが必要です。

今回、うまくテレワークできていない企業は、この経験を生かして、いつでもテレワークできるような体制を作ることが望まれます。

[シニアガイド編集部]