「緊急事態宣言」によって、強制的にテレワークを実施する企業が3倍に
企業財務の幹部にアンケート
一般財団法人 日本CFO協会が、テレワークに関する調査結果を公開しています。
2020年4月7日から13日にかけて行なわれたインターネット調査には、241人の最高財務責任者(CFO)または経理/財務幹部が回答しています。
緊急事態宣言の前後で大きな差
この調査は、緊急事態宣言後に行なわれていますが、日本CFO協会では緊急事態宣言の前にも同様の調査を行なっています。
テレワークの実施状況について、2つの調査結果を比較してみましょう。
テレワークについて「強制的に実施」している割合は、緊急事態宣言前は「7%」でしたが、今回の調査では「20%」と、ほぼ3倍に増えています。
また、「強制していないが強く推奨」している割合も、宣言前の「34%」から、「53%」に増えました。
緊急事態宣言が行なわれたことによって、テレワークを行なうように働きかける会社が増えたことが分かります。
満足している人は3人に1人
今回の調査で「テレワークの状況に満足している」と答えた人は「32%」に留まりました。
つまり、現在のテレワークに満足している人は3人に1人しかいません。
満足していない人の方が多く、「40%」もいます。
不満の原因は「書類のデジタル化ができていない」
テレワークに満足していない理由で一番多いのは「書類のデジタル化が進んでいないから」です。
テレワークに満足していない人の7割以上がこれを挙げています。
また、「アクセス環境(VPNなど)が整っていないから」と「(テレワークでは)作業がはかどらないから」も4割を超えています。
この3つが、テレワークに対する主な不満と言って良いでしょう。
環境に関することを除くと、自宅では集中できずに作業がはかどらないなど、テレワークに不慣れなことが原因となっています。
今回のような非常時だけではなく、通常の勤務でもテレワークを組み入れるなどの工夫が必要でしょう。
ふだんから環境を整えて置かないと、いざというときにできない
今回の調査ではテレワークについて、2つのことが分かりました。
- 新型コロナウイルスによる緊急事態宣言は、テレワークの普及に強く影響している
- 体制が整っていない状態でテレワークを開始した企業が多く、テレワークに対して不満を抱いている人が多い
緊急事態宣言によって、見切り発車的にテレワークを強制している企業では、テレワークの前提である「書類のデジタル化」や「承認システムの電子化」が進んでおらず、テレワークだけでは作業が完結しません。
結局、過去の書類の確認や、決済のハンコをもらうために、出社しなければならないような状況にあるのでしょう。
テレワークを効果的に使うためには、普段からの体制づくりや、各社員にテレワークに慣れさせることが必要です。
今回、うまくテレワークできていない企業は、この経験を生かして、いつでもテレワークできるような体制を作ることが望まれます。