北海道東川町が「特別定額給付金」の先払い制度開始。無利子で借りて給付金で返済
給付の前に同額を貸付け
北海道の東川町(ひがしかわちょう)が、「特別定額給付金」の先払い制度を4月28日から開始します。
この制度は、生活に困っている人に、無利子で給付金分のお金を貸付け、後ほど支払われた特別定額給付金で清算する制度です。
「特別定額給付金」は、給付までに少なくとも1カ月程度の時間が必要ですが、先払い制度を利用すると、早ければ翌日にも手元にお金が入ります。
すぐにお金が必要な人にとっては、大変ありがたい制度です。
借りたお金は町が返済を代行
「特別定額給付金」の先払い制度の対象となるのは、「2020年4月27日現在で東川町の住民基本台帳に記載されている世帯主」のうち、次のいずれかに該当する人です。
- 失業中
- 自営業者で、休業中または収入が減少した
- 収入が大幅に減少した
- その他町長が必要と認めた場合
前払いされる金額は、世帯への特別定額給付金と同額です。
特別定額給付金が給付されたら、それを町が受け取り、町が金融機関に返済します。
返済にあたって、利子は付きません。
つまり、前払いされたお金については、返済のことは考えずに、そのまま全部使ってかまいません。
ただし、転入、転出、出生、死亡などの理由により、特例定額給付金の額が変更となった場合は、返済が必要になる可能性があります。
世帯主が役所と銀行に足を運ぶ必要がある
前払い制度を利用するには、どんな手続が必要なのでしょう。
手続きの流れ
- 世帯主本人が、東川町役場1階第一会議室に行って、給付額の証明書を発行してもらう
- 金融機関(東川町農業協同組合または北央信用組合東川支店)に証明書を持参して申請する
- 早ければ、次の平日に口座に、お金が振り込まれる
つまり、世帯主が自分で役場と金融機関へ行く必要があります。
また、手続きには、次のものが必要です。
手続きに必要なもの
- 東川町農業協同組合または北央信用組合の世帯主名義の通帳
- 世帯主の本人確認書類(マイナンバーカード、運転免許証、保険証など)
- 世帯主の印鑑(口座の登録印)
人口が少ないことを生かした優れた制度
「特別定額給付金」の先払い制度は、特別定額給付金の給付までの期間が長いという問題をうまく解決する制度です。
今日明日の生活に困っている人にとっては、すぐにでも利用したい制度でしょう。
しかし、大都市で、この制度が真似できるかというと、それは難しいでしょう。
「東川町」は、人口が8,328人と少なく、世帯数は3,879世帯です。
つまり、すべての世帯主が先払い制度を利用したとしても、手続きに来る人数は3,879人です。
これぐらいの規模なので、人が集中することを恐れずに、役所と金融機関に足を運んでもらうことができます。
例えば、東京23区で、もっとも人口が少ない千代田区でも、世帯数は37,449世帯ですから、世帯主は東川町の10倍いることになります。
3万7千人の世帯主が、千代田区区役所を訪れたら、混乱を招くことは間違いありません。
また、対象となる金融機関を2つに絞っていることも、先払い制度が実現できた理由です。
これが、都市部のように、都市銀行を始めとして数十以上の金融機関を対象にしなければならないとしたら、調整に手間取って短期間では実現できないでしょう。
自分の町の特性をうまく利用して、このような優れた制度を考案した東川町役場の努力は称賛に値します。
国の指示のままに制度を運用するだけではなく、困っている町民の顔が見えていなければ、このような制度は思いつかないでしょう。
そして、東川町の先払い制度は、人口と金融機関が少ない町や村であれば、真似のできる制度です。
自分たちも実行できないかと、検討する自治体が増えることを期待しましょう。