7割以上の医師が「新型コロナウイルスの影響で患者が減った」と感じている
千人以上の医師にアンケート
医療機関向けのサポート事業を行なう「医師のとも」が、「患者数の変化」についてのアンケート結果を公開しています。
2020年5月に行なわれたインターネット調査には、20代~80代の医師1,346人が回答しています。
7割以上が「患者数が減った」と回答
アンケートでは、「パンデミック前と比較して、患者数は減ったと感じますか」と聞いています。
「患者数が減った」という回答は、77.2%を占めました。
コロナウイルス対策が影響して患者数が減少
「患者数が減った」理由として、つぎのような回答が寄せられています。
- 院内での感染を怖がっている患者が多く、来院を控えている(40代、呼吸器内科、開業医)
- 長期処方や電話再診を促して、極力患者を減らす努力をしている(50代、整形外科、勤務医)
- コロナ関連の入院に備えて、病床を空けている(30代、消化器内科、勤務医)
- マスク使用、手洗い励行が行き渡り、感染症が減少している(70代、一般内科、開業医)
- 緊急事態宣言中は、健診や内視鏡等の業務を休止するように通達があったため(健診、消化器内科の医師複数名)
患者側も医師側も来院を減らそうとしていることに加え、新型コロナウイルスによる衛生意識の向上で風邪やインフルエンザによる患者が減ったと見られます。
また、医師のともでは、「例年、花粉症の患者様で非常に混み合う耳鼻咽喉科が、臨時休校・テレワーク・外出自粛によって花粉への暴露が減って症状が出にくかったことが患者数減少の大きな要因」と推測しています。
実際に、診療科目別で見ると、「耳鼻咽喉科」は「患者数が減った」という回答が多くなっています。
一部の診療科目に患者が集中
次に、「患者数が増えている」と回答した人の理由を見てみましょう。
- 新型コロナウイルス感染症の対応を行なっているため(呼吸器内科、呼吸器外科の医師複数名)
- 訪問診療を行なっており、むしろ増えた気がする(30代、一般内科、勤務医)
- 近隣の救命センターの救急受け入れが中止した分、当センターが受け入れているため(50代、救急科、勤務医)
新型コロナウイルス感染症を診察する「呼吸器内科」や「呼吸器外科」では、患者数が増えていることが分かります。
また、院内感染を怖がって病院に来ることを避けている人が、「訪問診療」に頼る例もあるようです。
そして、近隣の病院が救急対応を中止しているのは、新型コロナウイルスによる院内感染によるものが多いでしょう。
1つの病院で院内感染が起きると、周りの病院に負担がかかってしまうのです。
新型コロナウイルスによって、多くの病院で患者数が少なくなる一方で、一部の診療科目や、一部の病院に負担がかかってしまうことが分かりました。
病院を利用する患者も、このような事情を理解して、救急ではない受診は減らしましょう。
また、新型コロナウイルスが疑われる場合は「相談・受診の目安」に従って専門の窓口から受診するなど、受診のルールを守りましょう。
そうすることで、病院の持つ資源を無駄遣いせず、新型コロナウイルスへと向けることができます。