経団連が「オフィスにおける新型コロナウイルス感染予防対策ガイドライン」を公開
新型コロナウイルスと共存するためのオフィス
8都道府県を除いて「緊急事態宣言」が解除され、オフィスでの業務についても再開の方向へ向かい始めました。
ちょうど、このタイミングで、経団連が「オフィスにおける新型コロナウイルス感染予防対策ガイドライン」を公開しています。
このガイドラインは、政府の対処方針や専門家会議の提言などを踏まえて、オフィスにおける感染予防をめざすものです。
ここでは、一般的なオフィスでの勤務に関するポイントを抜き出して紹介します。
テレワークなどで通勤頻度を減らす
従業員の通勤については、テレワークや週休3日制などを導入して、通勤する回数を減らすように呼びかけています。
通勤に関するガイドライン
- テレワーク、時差出勤、ローテーション勤務、変形労働時間制、週休3日制など、さまざまな勤務形態の検討を通じ、通勤頻度を減らし、公共交通機関の混雑緩和を図る。
- テレワークを行なうにあたっては、厚生労働省のガイドライン(PDF)などを参照し、労働時間の適正な把握や適正な作業環境の整備などに配慮する。
マスクをした上で、2m間隔で座る
オフィスで勤務中の従業員は、マスクの着用が求められます。
マスクが用意できない従業員のために、会社がマスクを用意することも考えなければならないでしょう。
そして、「できる限り2mを目安に、一定の距離を保てるよう」に配置を変えることを勧めています。
オフィスの賃料が高い東京では、一人ひとりに幅の狭い机を導入したり、仕切りのない長い机を導入してみっちりと詰め込んで配置している例をよく見かけます。
このガイドラインを実現しようとすると、机を一つ飛ばしで利用したり、長い机を使う人数を減らすなどの工夫が必要でしょう。
また、人と人が対面する「受付」などは、アクリル板や透明ビニールカーテンなどで遮蔽することが求められています。
最近のスーパーやコンビニのレジで見かける光景をイメージすると良いでしょう。
共有の機材についても「頻繁に洗浄・消毒を行なう」とされています。
例えば、コピーとFAXの機能を備えた複合機などは、そばに洗浄剤を用意して、いつでも消毒できるようにする必要があるでしょう。
オフィスに関するガイドライン
- 従業員に対し、勤務中のマスクなどの着用を促す。
- 従業員が、できる限り2mを目安に、一定の距離を保てるよう、人員配置について最大限の見直しを行なう。
- 飛沫感染防止のため、座席配置などは広々と設置する。仕切りのない対面の座席配置は避け、可能な限り対角に配置する、横並びにするなど工夫する(その場合でも最低1mあけるなどの対策を検討する)。
- 人と人が頻繁に対面する場所は、アクリル板や透明ビニールカーテンなどで遮蔽する。
- ドアノブ、電気のスイッチ、手すり・つり革、エレベーターのボタン、ゴミ箱、電話、共有のテーブル・椅子などの共有設備については、頻繁に洗浄・消毒を行なう。
会議室の存在も再検討が必要
会議についても、お互いが近づきすぎないように工夫が必要です。
特に対面して人との距離は空ける必要があるので、会議室の机の再配置が必要でしょう。
また、椅子の個数を減らして、会議室の定員を減らすことも考える必要があるでしょう。
さらに、会議においても全員がマスクを着用することが求められています。
社外との接触については、従業員と同じルールに従ってもらうことが前提で、社外の人と会うこと自体の必要性についても問われています。
こうなると、オンラインで名刺交換をして、会議ソフトで面談というパターンが増えていくでしょう。
本当に会議室が必要なのかというところから検討すべきなのかもしれません。
会議に関するガイドライン
- 会議を対面で行なう場合、マスクを着用し、換気に留意する。また、椅子を減らしたり、机などに印をつけたりするなど、近距離や対面に座らないように工夫する。
- 取引先等を含む外部関係者の立ち入りについては、必要性を含め検討し、立ち入りを認める場合には、当該者に対して、従業員に準じた感染防止対策を求める。
- 対面の社外の会議やイベントなどについては、参加の必要性をよく検討したうえで、参加する場合は、最小人数とし、マスクを着用する。
- 名刺交換はオンラインで行なうことも検討する。
オフィスも、これまで通りではいられない
ここで紹介したポイントは、ガイドラインのごく一部にすぎません。
実際に会社で実行する場合には、かならず、ガイドラインの原文を参照してください。
一つだけ明らかなのは、「オフィスも、これまで通りではいられない」ということです。
新型コロナウイルスの存在を前提とした上で、机の配置から始まって、従業員に対する教育、会社内の制度などを大きく変えていく必要があります。
すでに、一部の会社では、オフィスの必要性の検討まで踏み込んで、会社の方針を転換する例も出てきています。
最終的には、会社の目的が何であるのか、その成果を挙げるためには、どのように従業員に働いてもらうべきなのかという、会社自体の立ち位置まで含めた検討が必要になるでしょう。