リモートワークで、社内の平等を保つのは難しい
全国の9,721人にアンケート
クラウド人材管理システムを提供するカオナビが、「リモートワークの実態調査」の結果を公開しています。
2020年5月に行なわれたインターネット調査には、全国の20代から60代のサラリーマン9,721人が回答しています。
なお、「リモートワーク」とは、「会社に出社をしない働き方」を指します。
ここでは、「テレワーク」や「在宅勤務」と置き換えて考えてください。
やっている人は3人に1人
まず、リモートワークの実施率を見てみましょう。
「毎日リモートワーク」または「週に2~3日出社し、その他はリモートワーク」と回答した人を、リモートワークを実施している人としています。
その割合は、全国で「35.5%」でした。
だいたい、全体の3分の1と思えば良いでしょう。
緊急事態宣言がされた上で、「新型コロナウイルス対策」として実行が呼びかけられた割には、少ない印象です。
「首都圏」とそれ以外で普及に差
リモートワークの実施率を「地域別」に見てみましょう。
一番多いのは、「首都圏」でした。
「首都圏」は、リモートワークの実施率が50%を超えている唯一の地域です。
首都圏とそれ以外の地域では、リモートワークの実施率に、かなりの温度差があります。
なお、この調査では「東京都、埼玉県、千葉県、神奈川県」の一都三県を「首都圏」としています。
向いている業種と、向いていない業種がある
次に「業種別」に見てみましょう。
リモートワークの実施率が最も高いのは、「IT・インターネット」の68.4%でした。
逆に、実施率が低いのは「小売・外食」「流通」で、20%台に留まっています。
「小売・外食」と「流通」は、販売や配達など現場で働く仕事が多いので、当然の結果でしょう。
「営業」と「事務」が向いている
こんどは「職種別」に見てみます。
リモートワークの実施率が高い職種は、「営業職」「事務系管理職」「事務職・技術系事務職」でした。
つまり、「営業」と「事務」です。
「営業」は外回りが多く、「事務」はデスクワークが中心です。
それぞれ理由は異なりますが、リモートワークしやすい職種なのです。
大きい会社ほど実行している
回答者が所属している会社の規模によって、リモートワークの普及度に差があります。
一言で言えば「会社の規模が大きければ大きいほど、リモートワーク実施率が高い」のです。
たとえば、従業員数が「5,000人以上」と「10~49人」では、実施率は2倍以上違います。
つまり、リモートワークを進めるには「リモートワーク環境が整備できる資源が会社にある」ことが必要なのです。
同じ社内でもひとまとめには扱えない
ここまでの結果をまとめてみましょう。
- リモートワークを実施している人は、全国では3人に1人ぐらい
- 「首都圏」とそれ以外では大きな差がある
- 業種別では「IT系」が多い
- 業務別では「営業」と「事務」が多い
- 会社の規模が大きいほど普及している
つまり、リモートワークの実施によってメリットを得やすい人と、そうではない人がいます。
リモートワークを導入することで、本社と支社、職種や業務の違いによって、不平等が発生する可能性があります。
同じ社内だからと言って、ひとまとめに扱うことはできません。
新型コロナウイルス対策として急激に導入されたリモートワークを、きちんと制度として社内に定着させるためには、常に不平等にならないように意識して制度を設計する必要があるのです。