テレワーク以外の選択肢もある、新型コロナ時代の働き方

[2020/6/23 00:00]

106社が回答した人事への影響

「日本CHO協会」が「新型コロナウイルスの影響と働き方の変化に関する調査」の結果を公開しています。

「CHO(チーフ・ヒューマン・オフィサー)」とは、企業の人事部門の責任者を指します。

2020年5月に行なわれたインターネット調査には、日本CHO協会会員の106社が回答しています。

調査結果からは、企業側から見た新型コロナウイルス対策の実情を知ることができます。

従来どおり出社するのは「本社」と「現場」

新型コロナウイルスの人事対策といえば、真っ先に「テレワーク」が思い浮かびますが、実際にはテレワークが不可能な業種や役職もあります。

「従来のオフィス勤務や現場勤務を継続した部門」を聞いたところ、一番多いのは「本社スタッフ部門・管理部門」でした。

そして、「製造部門」が続きます。

企業の中枢である「本社関係」と、現場そのものである「製造部門」は、出社が必要とされていることが分かります。

出典:日本CHO協会

導入が進む「時差出勤」と「フレックスタイム制」

通勤時の混雑を避けることができる「時差出勤やフレックスタイム制」も、新型コロナウイルス対策として有効な手段です。

これらの制度の導入状況について聞いたところ、「既に導入し、浸透していた」企業は、ほぼ半分に達しています。

「一部では導入していたが、新型コロナウイルスを契機に対象者を拡大した」と合わせると、9割近くを占めています。

「時差出勤やフレックスタイム制」は、実施している企業が多く、比較的導入しやすい制度のようです。

出典:日本CHO協会

オフィスへ出勤する人を減らす「交替制出勤」

オフィスに出勤する人を減らすために、出社する社員を指名する「交替制出勤」も、コロナ対策として有効な制度です。

例えば、曜日ごとに出社する部署を指定したり、1つの部署で出社できる社員の数を制限して交代で出社させたりします。

「交替制出勤」については、「実施している」企業は7割強でした。

しかし、「以前から導入していた」という企業は少なく、新型コロナをきっかけに大きく導入が進んだことが分かります。

出典:日本CHO協会

「テレワーク」できる業務はテレワークに

「時差出勤」や「交替制出勤」を導入している企業でも、「テレワーク」を実施していないわけではありません。

在宅勤務に代表される「テレワーク」制度を導入している企業は9割を超えます。

つまり、「テレワーク」できる業務は在宅勤務とし、出社が必要な業務は「時差出勤」や「交替制出勤」にして、オフィスにいる人数を減らすという方針でしょう。

「テレワーク」を本格的に導入した時期は、新型コロナ対策からとしている企業が多く、ここ数カ月で急速に浸透したことが分かります。

出典:日本CHO協会

コロナで課題を突きつけられた人事部門

「緊急事態宣言」が終わっても、新型コロナウイルスの対策は続ける必要があります。

オフィスでの3密を避けるためにも、企業の人事部門は、「テレワーク」「時差出勤」「交替制出勤」などを組み合わせた勤務体制を考える必要があります。

新型コロナウイルスは、「人事制度のあり方」や「社員の働き方」を根本から再検討するという課題を、企業の人事部門に突きつけているのです。

[シニアガイド編集部]