新型コロナによるテレワーク経験で「地方移住」を考える人が増えた
新型コロナが生活意識にも影響
新型コロナウイルスを意識した生活が続く中で、「地方移住」に対する関心が高まっています。
内閣府が行なった調査から、地方移住に関する内容を紹介しましょう。
このインターネット調査は2020年の5月25日から6月5日にかけて行なわれ、全国の15歳以上の男女10,128人が回答しています。
地方移住を考える人が増えた
今回の新型コロナウイルスの影響で、「地方移住への関心が高まった」人は15.0%でした。
内訳は、「関心が高くなった」が3.8%、「やや高くなった」が11.2%です。
一方、地方移住への「関心が低くなった」という人は5.3%に留まります。
新型コロナウイルスは、地方移住に前向きな影響を与えているのです。
現役世代が地方移住に関心
「地方移住への関心が高まった」人を、年代別に見ると「20代」と「30代」が多く、20%を超えています。
つまり、新型コロナウイルスは、若い現役世代に地方移住を考るきっかけとなったのです。
一方、「50代以上」は10.2%に留まっています。
定年後に地方移住を考える層には、新型コロナウイルスはあまり影響を与えなかったようです。
東京23区では3人に1人が「関心が高まった」
「地方移住への関心が高まった」人が多い「20代」に限定して、地域別に見てみましょう。
「東京23区」に限ると、「地方移住への関心が高まった」は35.4%もいました。
3人に1人以上の割合で、地方移住を考えるきっかけとなったのです。
「東京圏」では27.7%、「大阪圏/名古屋圏」では15.2%でした。
つまり、地方移住への関心が高まったのは、東京周辺の人、それも都心に住んでいる人なのです。
テレワークが地方移住への扉を開く
東京在住者ほど「地方移住への関心が高まった」のはなぜでしょう。
その原因の一つは「テレワーク」です。
テレワークを経験した人では、「地方移住への関心が高まった」割合は「24.6%」でした。
一方、テレワークを行なわなかった人では「10.0%」に留まっています。
たぶん、テレワークを経験すると、「これならどこに住んでいても仕事ができるのでないか、だったら3密になりにくい地方へ移住しても良いのではないか」と考える人が増えるのでしょう。
それを裏付けるように、地方移住への関心が高まった人が多い「東京23区」はテレワークを行なった人が多い地域でもあります。
そして、テレワークの実施率が高いほど、地方移住に前向きになる人が増えるのです。
「働き口」以外にも検討すべきことがある
現役世代が地方移住を考えるときに、「収入を得るための働き口の確保」は必須の条件です。
今回、テレワークを経験した都市在住者は、「これなら地方移住をしても、テレワークで働けるのではないか」と考える人が増えたのでしょう。
テレワークで働くことで、職場との関係や、住まいの選択などの価値観が大きく変わったのです。
しかし、地方移住で検討しなければならない要素は、働き口だけではありません。
住まいの確保、学校や病院の状況、日常的な買い物ができる店舗など、いろいろな要素を考える必要がある
テレワークだけで、すべての問題が解決できるわけではありません。
地方移住を考えるときは、「働き口」以外の日常生活に必要な要素も忘れずに検討してください。