新型コロナウイルスの影響で、東京の人口が減少
「緊急事態宣言」が人口にも影響
総務省統計局が、2020年5月の東京都の人口移動についてレポートを公開しています。
東京都では、新型コロナウイルスの流行に伴って、4月7日から5月25日まで1カ月半に渡って「緊急事態宣言」が行なわれていました。
そのため、2020年5月の東京都の人口は、4月に比べて「1,069人」減少しました。
東京都の人口は、何年にも渡って増え続けており、人口が減少するのは異例のことです。
なお、このレポートでは、東京都と他県との移動だけを見ており、出産や死亡による自然増減は含んでいませんので注意してください。
「転出」が「転入」を上回る
どうして、東京都の人口は、1カ月で千人も減ったのでしょうか。
5月の東京都の人口移動の内訳を見てみましょう。
他県からの東京都への「転入」は、2万2,525人でした。
一方、東京都から他県への「転出」は2万3,594人でした。
転入と転出を比べると、転出の方が多く、その差の1,069人だけ人口が減ったのです。
東京都への「転入」が減った
東京都の人口減少は、出ていく人が増えたのでしょうか、それとも入ってくる人が減ったのでしょうか。
5月の人口移動は、「緊急事態宣言」の影響で大きく減少しました。
東京都でも、他県への「転出」は2割以上減りました。
つまり、出ていく人は増えていないのです。
一方、他県からの「転入」は3割以上も減りました。
5月の人口減少は「東京都へ入ってくる人が減った」のが原因と言えるでしょう。
進学や転勤が見送られた
東京都への転入者を年齢別に見てみましょう。
下のグラフの青が昨年、赤が今年です。
2つを見比べると、10代後半から20代後半にかけて、転入者が減っています。
また、昨年は転入者が多かった30代前半が、今年は転出者の方が多くマイナスになっています。
つまり、緊急事態宣言の影響で、大学が休校になったり、会社での転勤が抑制されたために、東京都に入ってくる人が減ってしまったのです。
改めて分かる新型コロナの影響の大きさ
東京都の人口移動は、「3月から5月」に「10代後半から30代前半」の転入が大規模に行なわれるという特徴があります。
年度替わりの時期に、大学への進学、新卒採用、転勤などの理由で、若い年齢層が転入してくるのです。
しかし、今年は新型コロナウイルスに伴なう緊急事態宣言によって、東京都への人口移動が抑制されたため、人口が減ってしまったのです。
これまで、人口が増加するのが当たり前だった東京都でも、たった一つの病気が原因で、人口が減少してしまいました。
東京都の人口減少は、新型コロナウイルスが社会に与えた影響が、いかに大きかったかを示しています。
そして、6月が終わった時点で、東京都の新型コロナウイルスの感染者数は減っていません。
新型コロナの影響は、まだ続いているのです。