新型コロナの消毒に使える「次亜塩素酸水」は35ppm以上とNITEが検証
「次亜塩素酸水」を選ぶときの基準
独立行政法人 製品評価技術基盤機構(NITE:ナイト)が、新型コロナウイルスの消毒方法としての「次亜塩素酸水」の有効性に関する報告書を公開しています。
報告書の内容は多岐にわたりますが、ここでは「次亜塩素酸水」を選ぶときに必要な情報である、生成方法と検証結果に絞って紹介します。
生成方法は問わない
「次亜塩素酸水」については、大きく分けて2つの生成方法があります。
- 電解型 塩酸などを電気分解する
- 非電解型 溶液や粉末などから生成する
今回のNITEの定義では、いずれも「次亜塩素酸水」として扱っています。
なお、食品衛生法では「電解型」のみを承認しています。
このように定義が異なるのは、今回の検討の対象が物品の消毒であることと、家庭の消毒用として「非電解型」の製品が多数流通していることを考慮したものでしょう。
塩素濃度が「35ppm以上」ならば有効
「次亜塩素酸水」の有効性の検証には、多数の大学や機関が協力し、実際に新型コロナウイルスを使用して行なわれました。
ここでは結論だけ、紹介しましょう。
NITEでは、次亜塩素酸水は、以下のものを有効と判断しています。
- 次亜塩素酸水(電解型/非電解型)は有効塩素濃度 35ppm以上
- ジクロロイソシアヌル酸ナトリウムは有効塩素濃度 100ppm以上
ざっくり言うと、「有効塩素濃度が35ppm以上の次亜塩素酸水」は有効ということになります。
この「35ppm」という濃度は生成方法を問いません。
ただし、非電解型の一部である「ジクロロイソシアヌル酸ナトリウム」のみは「100ppm」以上の濃度が必要としています。
なお、NITEでは、検証結果を踏まえると、次亜塩素酸水の利用に当たっては以下の注意が必要としています。
- 消毒の対象物の汚れ(有機物:手垢、油脂など)をあらかじめ除去すること
- 対象物に対して十分な量を使用すること
選ぶなら「有効塩素濃度」が書かれている製品を
新型コロナウイルスの流行以来、次亜塩素酸水を名乗る製品は爆発的に増えており、さまざまな生成方法や濃度の製品が流通しています。
今回のNITEの検証によって、一定の判断基準ができたことは貴重な成果と言えるでしょう。
これからは、次亜塩素酸水を購入すべきかどうかを判断するときに、次の2つに注意すれば良いのです。
- 生成方法については「電解型」でも「非電解型」でも良い。
- 次亜塩素酸水の有効塩素濃度 35ppm以上。ただし、「ジクロロイソシアヌル酸ナトリウム」は有効塩素濃度 100ppm以上が必要
実際には、生成方法はおろか、有効塩素濃度も明記されていない製品が多数流通しています。
逆に言えば、生成方法や有効塩素濃度も書かれていない製品は、選択の対象から外してしまえば良いでしょう。
「次亜塩素酸水」だから全部良いのでもありませんし、全部悪いのでもありません。
製造方法や有効塩素濃度をあいまいにした、明確な効果があるかどうかも判然としない製品が、大手を振って流通していることが一番いけないことなのです。