コロナでテレワークを始めたけれど、もう止めた企業が3割近くもある
1万社規模の企業調査
「新型コロナウイルス対策としてテレワークを始めた企業のうち、3割近くがすでに取り止めている」ことが、調査会社の東京商工リサーチのアンケートで分かりました。
2020年6月から7月にかけて行なわれたインターネット調査には、1万4,602社が回答しています。
なお、この記事では、在宅勤務やリモートワークなどをまとめて「テレワーク」と表記します。
すでに止めた企業が27%もある
新型コロナウイルスの感染対策として、テレワークを行なった企業は、全体の58%に上りました。
新型コロナウイルスをきっかけに、多くの企業にテレワークが導入されたことが分かります。
そのうち、「現在も実施している」企業は31%でした。
一方で、「実施したが、現在は取り止めた」企業も27%ありました。
3割近くの企業は、たった数カ月でテレワークを止めているのです。
すでにテレワークを止めた企業が多い背景には、テレワークの導入に伴なう技術的な問題や、仕事の進め方などの環境的な問題があると思われます。
東京商工リサーチでは、「経済活動の段階的な再開に伴い、勤務形態も『コロナ前』に戻りつつあるようだ。感染防止の観点では不安を残す結果となった」とコメントしています。
過半数が実施中の大企業、2割に留まる中小企業
テレワークを現在も実施している企業を規模別に見てみましょう。
大企業では55%が現在も実施しています。
一方、資本金1億円未満の中小企業で、テレワークを実施している企業は26%でした。
大企業の半分にも届いていません。
中小企業では「テレワークを一度も実施していない」割合も48%と高く、テレワークの導入自体が進まなかったことが分かります。
東京商工リサーチでは「社内インフラの整備、人員充足度など、業務オペレーションの違いが背景にあるとみられる」とコメントしています。
つまり、中小企業では、テレワークを導入するための資金や人員の余裕がないと言うことでしょう。
従業員の「10割」がテレワークの大企業も多い
テレワークの導入状況をもう少し、くわしく見てみましょう。
現在もテレワークを実施している企業に対して、「従業員の何割が実施しているか」を聞いています。
大企業、中小企業とも、一番多い回答は、従業員の「1割」でした。
次に多い回答は、大企業は従業員の「10割」ですが、中小企業は「5割」でした。
従業員の何割にテレワークを導入するかという点でも、企業規模による差があるのです。
また、同じ大企業でも、テレワークの導入が「1割」に留まる企業と、「10割」に及ぶ企業があり、業種や企業の戦略によって、テレワークが導入される規模と範囲が異なることが分かります。
テレワークを考えるときに考慮することは多い
今回の調査では、新型コロナ対策としてテレワークを導入したものの、それを継続せずに『コロナ前』の状況に戻りつつある企業が3割近くもあることが分かります。
特に中小企業では、テレワークを取り止めた割合が高いうえに、テレワークを導入しなかった企業や、導入しても従業員の一部に留まる企業も多く、課題が多いことが分かります。
新型コロナウイルスの流行によって、テレワークの急速な普及が進みましたが、それが今後も継続するかどうかは、企業による差が大きいことが分かりました。
自分がテレワークで働くことを考えるときは、企業規模や業種、経営の戦略なども考慮して、その可能性を探しましょう。