お金のためだけに働いている高齢者は健康を損ないやすい
高齢者が働く目的についての調査
東京都健康長寿医療センター研究所が、高齢者の働く目的についての研究成果を公開しています。
これは、同研究所の藤原佳典研究部長の研究グループによるもので、高齢期に働く目的が金銭の場合、働くことによる健康効果が弱いことが分かりました。
くだいて言えば、「お金のために働いている高齢者は健康を損ないやすい」ということです。
逆に言えば、高齢者が働くときは、収入だけではなく、生きがいのある労働を選んだ方が良いということです。
お金が目的で働いていると健康に悪い
この研究では、東京都大田区に済む65歳以上の高齢者1,069人を対象にして、2年間の間隔を開けて2回の調査を行なっています。
まず、働いている目的を、「生きがい」「生きがい+金銭目的」「金銭目的」の3つのグループに分けています。
それぞれのグループごとに、2年後の自分の健康状態や、精神状態、日常動作などを比較しました。
解析の結果、「金銭目的」のグループは、「生きがい」を目的としたグループに比べて、健康を損なうリスクが高いことが分かりました。
つまり、「お金」だけを目的として、「生きがい」にならないような働き方は、健康に悪いのです。
なお、「生きがい」のグループと「生きがい+金銭目的」のグループでは、ほとんど差がありません。
つまり、「お金」だけが目的ではなく、「生きがい」も目的に含まれていれば、健康には影響しないのです。
「生きがいが実感できる」仕事を選びたい
報告書では、「金銭目的」のグループの健康が悪化しやすい理由として、『より多くの収入を得るために、長時間・危険・重労働などによる身体的および精神的負担が大きいため』としています。
そして、高齢者が働く場合には、周囲に直接感謝されたり、人や社会の役に立っていることが実感しやすい、「生きがいが実感できる」仕事が望ましいとしています。
定年後に、仕事を選ぶ際には、金銭だけを目的とせず、少しでも「生きがい」が感じられるような仕事を選ぶように心がけてください。