お金のためだけに働いている高齢者は健康を損ないやすい

[2020/7/27 00:00]

高齢者が働く目的についての調査

東京都健康長寿医療センター研究所が、高齢者の働く目的についての研究成果を公開しています。

これは、同研究所の藤原佳典研究部長の研究グループによるもので、高齢期に働く目的が金銭の場合、働くことによる健康効果が弱いことが分かりました。

くだいて言えば、「お金のために働いている高齢者は健康を損ないやすい」ということです。

逆に言えば、高齢者が働くときは、収入だけではなく、生きがいのある労働を選んだ方が良いということです。

お金が目的で働いていると健康に悪い

この研究では、東京都大田区に済む65歳以上の高齢者1,069人を対象にして、2年間の間隔を開けて2回の調査を行なっています。

まず、働いている目的を、「生きがい」「生きがい+金銭目的」「金銭目的」の3つのグループに分けています。

それぞれのグループごとに、2年後の自分の健康状態や、精神状態、日常動作などを比較しました。

解析の結果、「金銭目的」のグループは、「生きがい」を目的としたグループに比べて、健康を損なうリスクが高いことが分かりました。

つまり、「お金」だけを目的として、「生きがい」にならないような働き方は、健康に悪いのです。
なお、「生きがい」のグループと「生きがい+金銭目的」のグループでは、ほとんど差がありません。

つまり、「お金」だけが目的ではなく、「生きがい」も目的に含まれていれば、健康には影響しないのです。

出典:東京都健康長寿医療センター研究所

「生きがいが実感できる」仕事を選びたい

報告書では、「金銭目的」のグループの健康が悪化しやすい理由として、『より多くの収入を得るために、長時間・危険・重労働などによる身体的および精神的負担が大きいため』としています。

そして、高齢者が働く場合には、周囲に直接感謝されたり、人や社会の役に立っていることが実感しやすい、「生きがいが実感できる」仕事が望ましいとしています。

定年後に、仕事を選ぶ際には、金銭だけを目的とせず、少しでも「生きがい」が感じられるような仕事を選ぶように心がけてください。

[シニアガイド編集部]