「天災」から「感染症」へ。9割以上の企業がBCPの見直しを想定
BCPに関するアンケート
総務専門誌『月刊総務』が、「BCP(事業継続計画)に関する調査」の結果を公開しています。
2020年7月に行なわれたインターネット調査には、『月刊総務』の読者216人が回答しています。
「BCP」は、Business Continuity Planの略で、企業が危機的状況に置かれた際に、重要な業務を継続するための計画を指します。
BCPを策定している企業は4割
BCPを策定している企業は、約4割にとどまりました。
東日本大震災の直後に、BCPを作成する機運が高まった時期がありましたが、過半数の企業は策定には至らなかったようです。
実施していたBCP対策は「従業員の安否確認」
「実施していたBCP対策」を聞いています。
一番多いのは「従業員の安否確認手段の確立」でした。
いざというときに、従業員の安否を確認するための連絡方法が重要とされています。
そして、「緊急時の指揮命令系統の確立」と「事業所の安全性確保」が続きます。
「テレワーク制度の整備」を行なっていた企業は、半分に留まっています。
想定していたリスクは「自然災害」
「BCPで想定していたリスク」で一番多いのは「自然災害(地震、水害等)」でした。
ほとんどの企業がこれを挙げています。
やはり、東日本大震災が、BCP策定のきっかけになったのでしょう。
次に多いのは「パンデミック(インフルエンザ、新型ウイルス等)」でした。
これは、新型インフルエンザやSARS(サーズ)、MERS(マーズ)の流行のがあったためでしょう。
ほとんどの企業がBCPの見直しを想定
新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、自社のBCPをどう評価するかを聞いています。
9割以上の企業が、自社のBCPについて「見直す必要性を感じた」と答えています。
新型コロナウイルスによる一連の動きは、事前の想定以上の影響があったことが分かります。
今後のBCPでは「パンデミック」を想定
「BCPで今後想定すべきリスク」で一番多いのは「パンデミック」でした。
現在は、新型コロナウイルスの感染拡大と、それによる事業縮小が続いている状況なので、パンデミック対策が真っ先に思い浮かぶのでしょう。
これまで1位だった「自然災害」を「パンデミック」が逆転しています。
BCPが想定するリスクは、「天災」から「感染症」へと変わらざるを得ない状況なのです。
いまこそ企業が生き延びる道を考える時
今回の調査では、新型コロナウイルスによって、BCPが改めて問い直されていることが分かりました。
すでに、BCPを策定済みの企業でも、その見直しが必要となっています。
一方、これまで策定していなかった企業にとっては、策定を考えるきっかけとなるでしょう。
新型コロナウイルスの影響は、しばらく続く可能性が高いでしょう。
今のうちに、何が必要であったかを記録し、企業や従業員が生き延びる道筋を検討して、BCPの改定や策定につなげてください。