「天災」から「感染症」へ。9割以上の企業がBCPの見直しを想定

[2020/8/1 00:00]

BCPに関するアンケート

総務専門誌『月刊総務』が、「BCP(事業継続計画)に関する調査」の結果を公開しています。

2020年7月に行なわれたインターネット調査には、『月刊総務』の読者216人が回答しています。

「BCP」は、Business Continuity Planの略で、企業が危機的状況に置かれた際に、重要な業務を継続するための計画を指します。

BCPを策定している企業は4割

BCPを策定している企業は、約4割にとどまりました。

東日本大震災の直後に、BCPを作成する機運が高まった時期がありましたが、過半数の企業は策定には至らなかったようです。

出典:『月刊総務』のデータをもとに編集部が作成

実施していたBCP対策は「従業員の安否確認」

「実施していたBCP対策」を聞いています。

一番多いのは「従業員の安否確認手段の確立」でした。

いざというときに、従業員の安否を確認するための連絡方法が重要とされています。

そして、「緊急時の指揮命令系統の確立」と「事業所の安全性確保」が続きます。

「テレワーク制度の整備」を行なっていた企業は、半分に留まっています。

出典:『月刊総務』のデータをもとに編集部が作成

想定していたリスクは「自然災害」

「BCPで想定していたリスク」で一番多いのは「自然災害(地震、水害等)」でした。

ほとんどの企業がこれを挙げています。

やはり、東日本大震災が、BCP策定のきっかけになったのでしょう。

次に多いのは「パンデミック(インフルエンザ、新型ウイルス等)」でした。

これは、新型インフルエンザやSARS(サーズ)、MERS(マーズ)の流行のがあったためでしょう。

出典:『月刊総務』のデータをもとに編集部が作成

ほとんどの企業がBCPの見直しを想定

新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、自社のBCPをどう評価するかを聞いています。

9割以上の企業が、自社のBCPについて「見直す必要性を感じた」と答えています。

新型コロナウイルスによる一連の動きは、事前の想定以上の影響があったことが分かります。

出典:『月刊総務』のデータをもとに編集部が作成

今後のBCPでは「パンデミック」を想定

「BCPで今後想定すべきリスク」で一番多いのは「パンデミック」でした。

現在は、新型コロナウイルスの感染拡大と、それによる事業縮小が続いている状況なので、パンデミック対策が真っ先に思い浮かぶのでしょう。

これまで1位だった「自然災害」を「パンデミック」が逆転しています。

BCPが想定するリスクは、「天災」から「感染症」へと変わらざるを得ない状況なのです。

出典:『月刊総務』のデータをもとに編集部が作成

いまこそ企業が生き延びる道を考える時

今回の調査では、新型コロナウイルスによって、BCPが改めて問い直されていることが分かりました。

すでに、BCPを策定済みの企業でも、その見直しが必要となっています。

一方、これまで策定していなかった企業にとっては、策定を考えるきっかけとなるでしょう。

新型コロナウイルスの影響は、しばらく続く可能性が高いでしょう。

今のうちに、何が必要であったかを記録し、企業や従業員が生き延びる道筋を検討して、BCPの改定や策定につなげてください。

[シニアガイド編集部]