沖縄県が新型コロナのPCR検査を制限。医療資源を重症者に集中
症状がない人のPCR検査を制限
沖縄県は、新型コロナウイルスの感染を判定するPCR検査の対象者を、一部制限すると発表しました。
制限されるのは、新型コロナウイルスの陽性者と「濃厚接触があり症状がない場合」です。
これまでは、すべて「保健所が医療機関を紹介」するという対応でしたが、今後はPCR検査を実施する対象を「医療/介護従事者等、基礎疾患を有する者、65歳以上の者」に制限します。
どうして、沖縄県は、このようなPCR検査の制限をするのでしょうか。その理由を紹介します。
感染拡大が止まらない
沖縄県では、7月下旬から、新型コロナウイルスの陽性者数が増え続けています。
7月31日には、独自の「沖縄県緊急事態宣言」を発令しました。
8月1日から15日までは、「警戒レベル第3段階」として、次のような要請を行なっています。
- 県内全域の不要不急の外出の自粛
- 那覇市内の飲食店の営業時間制限(5時~22時)
- 一部地域の遊興施設の休業要請
- 本島と離島間の移動を最小限に自粛
しかし、感染拡大は止まらず、8月7日には陽性者が100人の大台に乗りました。
医療資源を重症者に集中させる
感染の拡大が続いているため、PCR検査を求める人も増えています。
PCRの実施人数は、7月20日には3,655人でしたが、8月2日には8,972人と、2.45倍に増加しました。
沖縄県では、比較的リスクの低い人が、これ以上PCR検査を求めると、医療機関や保健所が対応に追われ、重症者に対する治療が困難になるとしています。
そのため、比較的リスクの低い「濃厚接触があり症状がない場合」に対しては、医療/介護関係者を優先し、それ以外の場合は、年齢や基礎疾患等の有無などで制限を設けることになりました。
なお、ここで言う基礎疾患等とは「糖尿病、心不全、呼吸器疾患、人工透析、免疫抑制剤/抗がん剤の利用、肥満、妊婦等」です。
沖縄県では、『今回の措置は、医療が必要な方へ迅速かつ確実に医療を届けるための緊急的措置であり、引き続き検査体制の拡充は進めてまいりますので、県民の皆さまのご理解を何卒よろしくお願いします』としています。
旅行の際は、医療体制に余裕がないことの覚悟を
今回、沖縄県が取った措置によって、現在の医療体制に大きな負荷がかかっていることが分かりました。
沖縄県では、県外からの渡航については「慎重に判断してほしい」としており、自粛の要請などはしていません。
しかし、これから沖縄県に渡航する場合は、次の2つのポイントを押さえて検討してください。
- 沖縄県の新型コロナウイルス陽性者は増え続けている
- すでにPCR検査を制限するほど、医療体制の余裕はなくなっている
また、新型コロナウイルスが流行している東京都などから沖縄県に旅行して、陽性が判明した人も少なくありません。
このように、地元ではなく、沖縄県で陽性が判明すると、沖縄県の医療体制の負担となってしまいます。
特に体調に不安がある場合や、感染の原因となる濃厚な接触に覚えがある場合は、くれぐれも慎重に判断することをおすすめします。