「70歳以上」では25%を超える、新型コロナの死亡率

[2020/8/26 00:00]

予想以上に高い高齢者の死亡率

新型コロナウイルスに感染した「70歳以上の患者」の死亡率が25%を超えることが分かりました。

これは、厚労省の会議に、国立感染症研究所 感染症疫学センターの鈴木 基(もとい)教授が提出した報告書によるものです。

この記事では、公開されたデータから「70歳以上の患者」に関する項目を紹介します。

「70歳以上」は4人に1人が死亡

今回の調査の対象は、2020年1月16日から8月19日までに自治体が公表した、58,256人のデータです。

この調査では、5月末日までを「第一波」、それ以降を「第二波」と分けています。

第一波と第二波では、新型コロナに感染した人の死亡率に差があり、第一波では6.0%、第二波では4.7%でした。

しかし、死亡率を年齢別に見ると、共通の特徴があることが分かりました。

第一波、第二波とも、「50歳未満」の死亡率はほぼ0%でした。

「50歳~69歳」の死亡率は約3%です。

そして、「70歳以上」の感染者に限ると、死亡率が25%を超えています。

つまり、「70歳以上」で新型コロナウイルスに感染すると、4人に1人が死亡しています。

高齢者が、新型コロナウイルスに感染すると、死に至る可能性がとても高いのです。

出典:国立感染症研究所のデータをもとに編集部が作成

患者数は少ないが、死者の大半を占める

別の角度から、高齢者の危険性を見てみましょう。

第一波の感染者のうち、「70歳以上」の割合は20.3%でした。

しかし、死亡した人では、「70歳以上」の割合は84.6%です。

つまり、患者全体の2割しかいない「70歳以上」から、死者の8割が出ているのです。

第二波は、さらに極端で、感染者のうち「70歳以上」は8.8%しかいません。

しかし、死者のうち「70歳以上」が占める割合は83.6%と下がっていません。

つまり、全体の1割もいない「70歳以上」の患者が、死者の8割を占めているのです。

新型コロナでは、高齢者の死亡率が極端に高く、死者が「70歳以上」に集中しているのです。

出典:国立感染症研究所のデータをもとに編集部が作成

感染を広める行為が死を招く

今回のデータでは、新型コロナでは、年齢が高いということが、いかに危険なことであるかが分かりました。

しかし、これは自分が若ければ、新型コロナに感染しても大丈夫という意味ではありません。

たとえ、自分が若くて、症状が軽くても、それだけでは済みません。

だれかと、三密になりやすい状況で同席すれば、あなたが感染を広めてしまう可能性があります。

そして、あなたから感染した人が高齢の場合、4人に1人という高い確率で死亡する可能性があります。

高齢者に新型コロナを広めてしまったら、その人の人生を終わりにしてしまう可能性があるのです。

あなたが高齢者であれば、自分が感染しないように注意を払ってください。

高齢者でなければ、高齢者に広めないように注意を払ってください。

自分の身も大切ですが、周囲にいる高齢者にも配慮した行動が必要なのです。

会議資料として公開された元データ 出典:国立感染症研究所
[シニアガイド編集部]