「財産の一覧表」と「戸籍書類」があると相続作業が楽になる
相続経験者へのアンケート
ひまわり司法書士法人が、「相続手続きに関する調査」の結果を公開しています。
2020年8月に行なわれたインターネット調査には、相続を経験したことがある569人が回答しています。
ほとんどの親が遺言書を残していない
「あなたの親は遺言書を残していましたか」と質問に、9割以上が「いいえ」と答えています。
遺言書があれば、相続作業の指針となるのですが、自分の親が、遺言書を残してくれる可能性は低いことが分かります。
相続を受ける側も準備をしていない
では、相続を受け取る側は準備をしているのでしょうか。
「相続手続きの事前準備をしていましたか」という質問に、8割以上が「していなかった」と答えています。
つまり、相続財産を残す側も、受け取る側も、何の準備もしていない例がほとんどなのです。
相続手続きで必要だった作業
遺言書も準備もない状態で相続を行なうと、多くの作業が発生します。
具体的にどんなことが起きるのでしょうか。
「相続手続きに関して大変だったこと」を聞くと、次のことが挙がっています。
- 不動産/株式などの名義変更
- 戸籍の収集
- 相続手続きに関する必要書類の作成
- 相続に掛かる税金の申告・納付
- 相続財産の調査
- 遺産分割による家族トラブル
- 司法書士・税理士などの専門家選び
- 相続手続き期限までの対応
すべての相続で、この作業が全部発生するわけではありませんが、それにしても手間がかかる作業であることは容易に想像できます。
相続手続きで大変だったこと
では、相続を行なった人は、どんな苦労があったのでしょうか。
寄せられたコメントを紹介します。
- 「被相続人所有の不動産金融資産は生前に聞いて大体把握していたが、細かいところまで調べたり、意外な資産が発見されたりして大変だった」(60代男性)
- 「被相続人の本籍地が数箇所変更があったため、あちこちの役所とやり取りをしなくてはならなかった」(60代女性)
- 「いろいろな金融機関に行って、亡くなった本人名義の口座がなかったか確認の必要があった」(50代男性)
- 「感情のぶつかり合いになり手続きがスムーズに進まなかった」(50代女性)
- 「亡くなって数カ月以内に相続手続きをしなければならないことを知らず、大変でした」(60代女性)
これを見ると、生前に「自分の財産の一覧表の作成」と「自分の戸籍書類の収集」をしてくれると、かなり楽になることが分かります。
事務作業から手を付ける
相続の準備をするために、「遺言書」を書こうとしても、なかなか書けるものではありません。
まして、自分の親に、いきなり「遺言書を書いてくれ」と言えば角が立ちます。
まずは、財産や戸籍に関する事務作業を進めてもらいましょう。
その作業を通じて、自分がどんな人生を歩み、財産を得たのかを思い出せば、それを誰にどのように受け継ぎたいのかという考えが、まとまるかもしれません。
親に頼みにくければ、まず、自分自身が作業を始めて、その様子を話題にすると、話しやすいでしょう。