新型コロナで休業した「接待を伴なう飲食店」の窮状
クラブの経営についてのアンケート
飲食品販売のリカープロジェクトが、「新型コロナウイルスによる営業自粛中のクラブ経営に関する調査」の結果を公開しています。
対象となっているのは「クラブ」を始めとする、「酒を出す飲食店」や「接待を伴なう飲食店」と呼ばれるお店です。
2020年5月28日に行なわれたインターネット調査には、高級クラブやナイトクラブ、高級飲食店の経営者1,064人が回答しています。
調査が行なわれたのは、5月25日に首都圏と北海道の緊急事態宣言が解除され、1カ月半ぶりに全国の遊興施設と商業施設の営業が解禁になった直後でした。
そのため、緊急事態宣言によって追い込まれた、生々しい窮状が伝わってきます。
緊急事態宣言で9割近くが休業
まず、緊急事態宣言の影響を見てみましょう。
「現状の店舗経営について教えてください」と聞いています。
「休業要請によって休業を強いられている」が一番多く、ほぼ半分を占めています。
「営業自粛要請によって休業中」と合わせると、9割近くが休業となっています。
緊急事態宣言が、「接待飲食店」にとって、とても大きな危機であったことが分かります。
ほとんどの店で「売上が大幅に減少」
次に、売上への影響を見てみましょう。
「緊急事態宣言発令前と比較して売上はどの程度になりましたか」と聞いています。
一番多いのが「以前の10%以上30%未満」でした。
次に多いのが「0%(売上ゼロ)」で、休業によって、すべての収入が途絶えたことが分かります。
程度の差はありますが、99%の回答者は「売上が落ちた」としています。
そして、そのうちの70%は、「以前の30%未満」と大幅に落ち込んでいます。
公的支援制度の利用に努力している
「売上の減少によって始めた“工夫"や“努力"」を聞いています。
「助成金や補助金の申請」が一番多く、公的な支援が柱となっていることが分かります。
次に多いのが「セーフティーネット保証5号の申請」です。
これは金融機関からお金を借りるときに、保証付きで借りられる金額を80%も増やせる制度です。
また、「お客さまへのこまめな連絡」のような営業活動や、「キャスト(店員)へのお見舞金の支給」のように収入が減った従業員の支援に手を付けている人もいます。
営業再開後の取り組み
「緊急事態宣言解除後の営業再開に向けて、新たに取り組んでいること」を聞いています。
多くの人が手を付けているのは、次の3つでした。
- 「食事メニューの追加」
- 「キャストの確保」
- 「お酒のバリエーション追加」
たとえば、次のような例が挙がっています。
- リーズナブルに楽しめるプランでお客さまを呼び込む(30代女性/北海道)
- 持続的な応援をお願いするための施策としてセット料金回数券やボトルサービス券の販売を考えている(30代女性/岡山県)
- ネット配信などSNSの活用に注力してみようと思っています(50代男性/東京都)
- お酒の種類を増やす予定で手配中(40代女性/愛知県)
コロナ前に戻るのは簡単ではない
今回の調査では、全国を対象とした「緊急事態宣言」が、接待を伴なう飲食店に大きなダメージを与えたことが分かりました。
幸い、9月の時点では、2度目の緊急事態宣言の発令はありませんでした。
しかし、新型コロナウイルスの流行を受けて、営業自粛や営業時間の短縮が要請は各地で行なわれています。
さらに、営業は再開しても、新型コロナウイルスを意識したソーシャルディスタンスの確保や、マスクやフェイスシールドの着用などの、予防対策が必要な状況は続いています。
接待を伴なう飲食店が、以前のような営業が行なえるようになるまでには、まだまだ時間が必要となるでしょう。