東京の会社員は7割以上がテレワークを経験。地方とは大差
948人の会社員に聞いたテレワーク
人材紹介事業のリクルートキャリアが、新型コロナウイルス流行下でのテレワークについて、調査結果を公開しています。
2020年8月に行なわれたインターネット調査には、全国の会社員948人が回答しています。
ここでは、テレワークの地域差と、テレワークに対する評価について紹介します。
テレワーク経験者は48%
新型コロナウイルスの影響下で、テレワークを行なった経験がある人は、全体の「48.0%」でした。
ただし、そのうち12.1%は「テレワークから通常出勤に戻った」としています。
都会とそれ以外ではテレワークに差がある
現役世代である生産年齢人口(15~64歳)が、多い都府県と、その他の道府県を比較しています。
生産年齢人口が一番多い「東京都」では、テレワークの経験者は「71.1%」に達しています。
2位の「神奈川県」が「63.8%」、3位の「大阪府」が「64.8%」です。
一方、この3都府県以外の、44道府県では、テレワーク経験者は「38.5%」に留まりました。
一番多い東京都と比べると、32.6%も差があります。
人口が多く新型コロナウイルスの流行が激しい都会と、それ以外の地域では、テレワークへの対応に大きな差があることが分かりました。
自分の判断で行なったテレワークは満足感が高い
緊急事態宣言の前後を比べた上で、現在の働き方に対する評価を聞いています。
緊急事態宣言を機に「自己の判断で自由にテレワークできるようになった」人は、現在の自分の状況を「良かった」と回答している人が66.1%います。
一方で、「会社の基準で出勤割合が決まった」人は、「良かった」の割合が42.4%と半分を切ります。
そして、「通常出勤に戻った」人は、「良かった」の割合が24.3%まで下がり、「良くなかった」と感じている人の方が多くなっています。
つまり、自分の判断で働き方が選べた人は満足していますが、会社の都合で決められた人は不満を持っているのです。
テレワークの長所と短所
テレワークを経験した人に、良かった点と悪かった点を聞いています。
【良かった点】
- 感染の不安を抱えながら電車通勤をする必要がなくなり、仕事に専念できるため(東京/44歳)
- 時間を有効に使えるようになり、業務効率が上がった。(千葉/40歳)
- 緊急事態宣言前もテレワーク可能ではあったが、家庭の事情などがないと取りにくかったが、緊急事態宣言後は誰でもテレワークを取りやすくなった(東京/34歳)
【困った点】
- 会話が減少したことで意志の疎通が図りにくくなった(大阪/34歳)
- テレワークの機材はすべて自己負担だった。(群馬/61歳)
「働き方を自分で決められる裁量権の有無」が鍵
リクルートキャリア HR統括編集長の藤井 薫氏は、今回の結果について、次のようにコメントしています。
まず着目したいのは、テレワークを経験した人の対極の声です。
- ポジティブ:時間を有効に使える。業務効率が上がった。
- ネガティブ:意志の疎通が図りにくくなった。自宅と会社でのペースが違い混乱。
さらに、テレワークに対する感情も、「自己の判断で自由にテレワークできるようになった」人は、66.1%が「良かった」と回答。
一方で、「会社の基準で出勤割合が決まった」、「通常出勤に戻った」人は、30%近くが「良くなかった」と回答しました。
テレワークのポジ/ネガの感情を分ける鍵は、働き方を自分で決められる裁量権の有無にある。そうした働き手の深層心理が見えてくるのではないでしょうか。