新型コロナウイルスの死亡率が下がっていることが複数の調査で判明
専門家による会議で公開された資料
厚労省の新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボードにて、死亡率に関する新しい資料が2つ公開されました。
この記事では、その一部をグラフ化して紹介します。
死亡率が大きく下がった
1つ目は、国立感染症研究所による新型コロナウイルスの「調整致命率」です。
「調整致命率」は一定の定義に基づいて診断された症例群から追跡期間中に発生する死亡リスクを表す数字で、ある条件下での死亡率と考えて良いでしょう。
前回は5月31日時点で計算されており、その時点の全年齢の死亡率は「5.8%」でした。
今回は8月30日時点の数字が公開され、全年齢の死亡率は「2.4%」でした。
年齢別で見ても、「70歳未満」と「70歳以上」の両方で、死亡率が下がっています。
特に、「70歳以上」は、前回の「24.5%」から「16%」へと大きく下がりました。
直近1カ月で見ると、状況の変化が分かる
また、対象とする期間を直近の1カ月間に限った数字も公開されました。
5月31日までの1カ月間では、全年齢の死亡率は「7.2%」でしたが、8月30日までの1カ月間では「0.9%」と大きく下がりました。
5月を中心にした、いわゆる「第一波」と、8月を中心にした「第二波」では、死亡率が大きく変わりました。
特に、「70歳以上」の死亡率が、「25.5%」から「8.1%」へと、3分の1に下がったことは朗報でしょう。
年齢と症状に応じた死亡率
もう一つ、国立国際医療研究センター病院による「入院後に死亡する割合」が公開されました。
こちらは、年齢と症状に応じた、より細かいデータが分かります。
グラフにしたのは、全期間のデータです。
症状別で見ると、入院時の症状が「軽症/中等症例」の場合の死亡率は「1.7%」でした。
症状が「重症」の場合は「17.9%」になります。
つまり、入院時の症状によって、死亡率が大きく異なることが分かります。
また、症状が同じレベルであっても、年齢が高くなるほど死亡率が上がります。
「軽症/中等症例」の場合、69歳以下では死亡率は1%以下ですが、「70歳以上」に限ると「9.4%」まで上がります。
同じように「重症」の場合、69歳以下では死亡率は10%以下にとどまっていますが、「70歳以上」に限ると「29.5%」に達します。
新型コロナウイルス感染症の場合、症状の軽重に関わらず、「70歳以上」の死亡率が高くなることが、改めて確認できます。
6月を境に潮目が変わった
なお、こちらの資料でも、2020年6月5日以前と、6月6日以降では死亡率に差が出ています。
6月6日以降は、すべての項目で死亡率が下がっており、新型コロナウイルス感染症の状況が変わりつつあることが感じられます。
新型コロナウイルスに対しては、ウイルス自体の変化に加え、治療法の進化など、刻々と状況が変わっています。
むやみに悲観することなく、状況の変化を見守りながら、感染予防に努めましょう。