新型コロナのクラスター発生が多いのは「医療/福祉施設」と「職場」
「クラスター」という新しい言葉
新型コロナウイルスに関係する新しい言葉の一つに「クラスター」があります。
新型コロナ用語としての「クラスター」は、患者(陽性者)の集団発生を意味しています。
日本の新型コロナ対策は、クラスターの発生を捉え、早期に対策することを基本としています。
そのため、クラスターの発生は、よくニュースになりますが、どれぐらい発生しているかという情報はあまり伝わってきません。
この記事では、政府の会議に提出された資料をもとに、2020年7月以降のクラスターの発生状況を紹介します。
クラスターのピークは「8月」
クラスターの発生は、7月は321件でしたが、8月には523件と大きく増えました。
9月からは、7月並みに戻っています。
しかし、クラスターの発生が少ない7月や9月でも、1日に10件程度は発生しています。
クラスターの発生は、必ずしも珍しいことではなく、身近なできごとなのです。
一番多いのは「医療/福祉施設」
次に、クラスターが発生した状況を見てみましょう。
クラスターの発生状況として一番多いのは「医療/福祉施設」です。
次に多いのが「職場」でした。
意外なことに「職場」におけるクラスターは、「接待を伴なう飲食店」や「会食」よりも多いのです。
常に発生している「職場」のクラスター
クラスターの発生件数を月別に見てみましょう。
「医療/福祉施設」は、8月に200件近く発生しています。
これは、7月の3倍以上もあり、月によって大きな波があることが分かります。
一方、「職場」での発生数は安定しており、80件から100件の間で推移しています。
「職場」のクラスターは、波が少なく、常に注意が必要な存在なのです。
クラスターのイメージ図
では、「医療/福祉施設」や「職場」でのクラスターは、どのように発生しているのでしょうか。
会議資料として提出されたイメージ例を見てみましょう。
まず、「医療/福祉施設」の例として「医療機関」の図です。
これは、次のような過程で、新型コロナが拡散しています。
まず、面会に来た家族により、入院患者が感染します。
そして、この患者から、他の患者や職員に感染が広がります。
さらに、リハビリテーション担当の職員が感染してしまい、この職員を通じて他の施設の利用者にも感染が広がってしまいました。
いったん施設内にウイルスが持ち込まれてしまうと、人の移動に伴って院内感染が広まってしまうのです。
次に「職場」の例として「コールセンター」の図を見てみましょう。
こちらは、コールセンターの従業員が発熱後も業務を継続したことがきっかけで、クラスターが発生しました。
この職員が利用した食堂や休憩室は、コロナ対策が行なわれておらず、他のフロアの従業員にも拡散してしまいました。
「職場」の場合も、人の動きと、共有している場所によって、感染が広がることが分かります。
「人を感染の危険にさらさない」のが基本
ここまで見てきたように、クラスターの発生は、人の動きに沿って始まります。
最初は、一人だった陽性者が、共有している場所や移動によって、クラスターへと発展してしまうのです。
クラスターを避ける対策としては、「マスクの着用」や「3密を避ける」という基本的な予防を行ないましょう。
そして、少しでも体調が悪かったら、人のいる場所に行くことを避けましょう。
あなたが無理をすることで、多くの人を新型コロナウイルスという危険にさらしてしまう可能性があります。
「自分が感染しない」だけではなく、「人を感染の危険にさらさない」ということを常に意識して行動してください。