大阪府が「医療非常事態宣言」。全地域の全住民に不要不急の外出の自粛を要請

[2020/12/4 05:00]
出典:大阪府

すべての住民に外出自粛を要請

大阪府は、新型コロナウイルスの感染拡大が進んだとして、「レッドステージ(非常事態)」を宣言しました。

これに基づいて、大阪府全域に対して、2020年12月4日から15日まで、「できる限り、不要不急の外出を自粛すること」を要請しています。

大阪府では、11月25日から「イエローステージ(警戒)」を宣言し、高齢者など重症になりやすい人を対象に、不要不急の外出を控えるよう呼びかけていました。

しかし、12月2日の新型コロナウイルス検査の新規陽性者は427人に達し、感染拡大の勢いが止まりません。

12月3日に行なわれた、大阪府の新型コロナウイルス対策本部会議で、「不要不急の外出自粛」の対象を、すべての地域のすべての住民へと、大きく広げました。

出典:大阪府

あと数日で重症病床が足りなくなる

大阪府が「医療非常事態宣言」を出すほど、重視しているのは、医療提供体制の状況です。

新型コロナウイルス感染症が重症化した人を収容する「重症病床」は数が限られています。

しかし、12月3日以降、新規陽性者が現在の状況が発生したと仮定すると、12月8日には重症病床の使用率が70%を超えてしまいます。

数字上では、まだ余裕があるように見えますが、重症病床はすぐにすべてが使えるわけではないので、実際には重症者を収容できない状況に陥ってしまいます。

また、新型コロナウイルスの患者に、医療関係者などの資源が取られてしまうため、それ以外の患者への医療まで手が回らなくなってしまいます。

そのため、感染拡大を押さえ、医療への負荷を減らす必要があるのです。

出典:大阪府

思い切ったことをしないと勢いは止まらない

大阪府は、これまでも、大阪府民に対して、新規陽性者を減らすための要請を行なってきました。

  • 11月12日 「静かに飲食」「マスクの徹底」を要請
  • 11月21日 「5人以上」や「2時間以上」の宴会の自粛と、重症化しやすい人の不要不急の外出自を要請

これらの要請により、7日ごとの新規陽性者の増加は、それまでの「1.5倍」から「1.1倍」に鈍くなりました。

しかし、それだけでは、増加傾向が止まりませんでした。

感染拡大の勢いを止めるためには、すべての地域ですべての人を対象にして「できる限り、不要不急の外出を自粛する」という手段を取らざるを得なかったのです。

現在、大阪府以外の大都市でも、新型コロナウイルスの感染拡大が続いており、状況に応じた「自粛の要請」が行なわれています。

しかし、本格的に新型コロナウイルスの勢いを止めようとすれば、思い切った手段が必要なことを、今回の大阪府の事例が示しています。

出典:大阪府
[シニアガイド編集部]