老人福祉/介護事業者の「倒産」が過去最多を更新。「休廃業」や「解散」も増える

[2020/12/5 00:00]

過去最多の倒産件数

企業情報調査会社の東京商工リサーチによれば、「老人福祉・介護事業」の倒産が、12月2日までに「112件」に達しました。

これは、介護保険法が施行された2000年以降で、一番多かった111件を上回り、過去最多となりました。

新型コロナウイルスによって、感染予防のために介護の利用を控える動きがあることや、感染予防のために行なう消毒などの新たな費用負担が増えたことが影響しています。

出典:東京商工リサーチ

小規模な事業者が力尽きる

介護事業者の倒産は、過去最多となり、通年では120件を超える勢いです。

しかし、負債総額は前年比で16%も減少しています。

これは、倒産した事業者の多くが小規模や零細な事業者であるためです。

例えば、事業者のうち「負債が1億円未満」が8割、「従業員5人未満」が6割を占めています。

また、新型コロナを直接の原因とする倒産は、10月までに累計3件にとどまっていましたが、11月だけで4件に及びました。

国や金融機関などの新型コロナ支援と、業界独自の助成金で踏みとどまっていた事業者が、年末を前に力尽きるパターンが多いのです。

「休廃業」や「解散」も増えている

また、「倒産」に至らなくても「休廃業」や「解散」をする事業者も増えています。

2020年の1月から10月までの休廃業と解散は「406件」で、2019年の395件を上回っています。

東京商工リサーチによれば、では、「経営不振や人手不足、コロナ禍での事業意欲の消失など、経営体力のあるうちに事業を止めるケースが増えているとみられる」と推測しています。

2020年の休廃業と解散は、最終的には2018年の「445件」を上回って、過去最多となる見通しです。

出典:東京商工リサーチ

倒産すると人のつながりが切れてしまう

もし、自分や家族が利用している介護サービスの事業者が、倒産や解散してしまった場合はどうなるのでしょうか。

事業者が無くなってしまうと、そのサービスが受けられなくなります。

他の事業者に切り替えることはできますが、介護において重要である人と人とのつながりが切れてしまいます。

もし、自分や家族が介護サービスを利用している場合は、その事業者の経営状況にも注意を払っておきましょう。

そして、万が一の際は、すぐにケアマネジャーに相談してください。

[シニアガイド編集部]