大阪府の新型コロナ“第三波”のデータで分かった危険度
「レッドステージ」を決断させた“第三波”のデータ
大阪府は、12月3日に、新型コロナウイルスの感染が拡大したとして「レッドステージ(非常事態)」を宣言しました。
それによって、大阪府の全域で全府民を対象に、不要不急の外出自粛を要請しています。
レッドステージの宣言に伴って、10月以降の、いわゆる“第三波”の感染状況のデータが公開されました。
この記事では、年齢と重症化の関係を中心に、データの一部を紹介します。
死亡率は「2.33%」
詳細が公開されたのは、大阪府が“第三波”と呼んでいる、10月10日以降のデータです。
10月10日から11月29日までの、新規陽性者つまり、新型コロナウイルスの感染者数は「8,954人」でした。
そのうち、重症者は236人、死者は88人です。
重症化率は「3.76%」、死亡率は「2.33%」になります。
いずれも、高い数字ですが、それでも6月までの“第一波”に比べると下がっています。
これは、新型コロナウイルスの症状に応じた治療方法が普及したということでしょう。
ただし、感染者数が増えたことによって、重症者も増えています。
それが大阪府に非常事態を宣言させることになったのです。
重症になるのは「70代」が中心
感染者のうち重症が3%以上、死亡が2%以上あるというのは、恐ろしい数字です。
しかし、新型コロナウイルスの怖さは、それだけではありません。
年齢別の分布を見ると、それが分かります。
まず、新型コロナの感染者の分布を見てみましょう。
数が多いのは30代から50代までの、比較的若い年齢層です。
しかし、重症者の年齢分布を見ると、「70代」が中心になっています。
新型コロナウイルスの特徴として、高齢者ほど重症化しやすいと言われていますが、それを裏付ける数字です。
感染者に対する重症者の割合で見ると、さらにその傾向が強くなります。
重症化する率が一番高いのは「70代」で、重症者の割合は10%を超えます。
つまり、「70代」の高齢者が新型コロナに感染すると、10人に1人は重症になってしまうのです
死亡するのは「80代」が中心
次に死者のデータを見てみましょう。
死亡した人が一番多いのは「80代」で、「70代」と「90代」が続きます。
一方、「30代」と「40代」は、感染者が多いのに、死者は「0(ゼロ)」です。
新型コロナウイルスは、高齢者を狙い撃っているような病気なのです。
「死亡率」のデータを見ると、その傾向がさらに強くなります。
死亡率が一番高いのは「90代」で、次が「100代」です。
この2つは、死亡率が10%を超えています。
つまり、90歳以上の人が新型コロナウイルスに感染すると、10人に1人以上の確率で死亡してしまうのです。
新型コロナウイルスが、年齢が高い高齢者にとって、とても危険な存在であることが分かります。
とりわけ高齢者が多い老人ホームや病院が、新型コロナウイルスの感染予防に力を入れる理由は、これなのです。
「重症」と判断される前に死亡してしまう
最後に、新型コロナウイルスの感染者が、どのような経路をたどって、死亡に至るのかを見てみましょう。
これについては、大阪府が用意した図を見ると、流れが分かります。
まず、8,954人の陽性患者のうち、73人が「重症」として扱われます。
大阪府では、「重症」の定義を「重症病床におけるICU(集中治療室)入室、(気管への)挿管、人工呼吸器装着、ECMO(エクモ)使用」としています。
つまり、集中治療室に入ったり、人工呼吸器やECMO(体外式膜型人工肺)で強制的に呼吸をさせるような処置をしなければ「重症」に分類されません。
最初から「重症」と診断されていたり、症状が悪化して「重症」となる人の合計は「236人」でした。
つまり、新型コロナウイルスの検査で陽性と診断された人のうち「2.6%」が、「重症」になります。
しかし、重症者のうち、死亡したのは17人だけです。
“第三波”の死者は「88人」ですから、あと71人足りません。
実は、それは、「重症」と判断されずに、一般の病棟で治療を受けていた人なのです。
新型コロナウイルスは、症状の悪化が早く、重症者に対する治療を受ける前に、死亡してしまう人がいるのです。
中には、死亡してしまってから、やっと検査結果が出て、新型コロナであることが分かった人さえいます。
新型コロナウイルスが疑われる症状が出ているときは、軽症だからと軽く考えず、必ず医師と電話で相談した上で、診察と検査を受けてください。