「在宅勤務手当」を新設する企業が増加、「通勤手当」は廃止の方向
2,000社分の福利厚生調査
シンクタンクのパーソル総合研究所が、「企業の福利厚生について」の調査結果を公開しています。
2020年9月に行なわれたインターネット調査には、人事または経営の担当者2,000人が回答しています。
「在宅勤務手当」の新設を検討
今後、制度の「新設」を決定または検討している福利厚生は、「在宅勤務手当」が一番多いことが分かりました。
23.9%の企業が、「在宅勤務手当」の新設を決定または検討しています。
企業の従業員規模別にみると、「10~99人」で12.4%、「100~1,999人」で25.4%、「2,000人以上」で38.5%でした。
つまり、会社が大きくなるほど「在宅勤務手当」を新設する傾向があります。
「通勤手当」は廃止を検討
一方、制度の「廃止」を検討している福利厚生は「通勤手当」でした。
16.7%の企業が、「通勤手当」の廃止を決定または検討しています。
企業の従業員規模別にみると、「10~99人」で14.0%、「100~1,999人」で14.6%、「2,000人以上」で21.5%でした。
こちらも、会社が大きくなるほど「通勤手当」を廃止する傾向があります。
福利厚生にも及ぶ新型コロナの影響
新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、多くの企業ではテレワークの導入が進みました。
「在宅勤務手当」の導入は、テレワークで働く人の増加を受けての制度変更でしょう。
一方、出勤する回数の減少を受けて、「通勤手当」の廃止を検討する企業も増えています。
「在宅勤務手当」の新設と「通勤手当」の廃止は、いずれも、新型コロナによる働き方の変化が原因なのです。
そのため、テレワークの導入が進んでいる大企業ほど、「在宅勤務手当」の導入と、「通勤手当」の廃止が進んでいます。
今回のアンケート結果を見るだけでも、新型コロナウイルスは、企業の福利厚生にも変化を強いるだけの、大きな衝撃であることが分かります。
今後は、「通勤手当」の廃止には至らなくても、例えば、毎日の通勤定期分を廃止し、出社した日だけ実費で精算するなど、新しい現実に即した制度に調整する企業も出てくるでしょう。