「酒を出す飲食店」の営業時間を短縮すると、新型コロナ対策になる理由
10を超える都市で営業時間の短縮を要請中
新型コロナウイルスの感染拡大を止めるための対策として、「酒を出す飲食店の営業時間の短縮要請」が行なわれています。
12月26日の時点でも、10を超える都市で、歓楽街の酒を出す飲食店を対象にした要請が行なわれています。
でも、どうして、お酒が出る飲食店の営業時間を短縮することが、新型コロナの感染予防になるのでしょう。
政府の「新型コロナウイルス感染症対策分科会」で公開された資料をもとに、その理由を紹介します。
「飲食店」はクラスターの発生が多い
分科会では、「飲食を介しての感染」が多いことを、大きな問題と考えています。
「飲食を介しての感染」が多いことは、新型コロナウイルスの集団感染である「クラスター」が発生する場所として「飲食店」の占める割合が高いことで分かります。
12月上旬について見ても、「飲食店」は「福祉施設」に次いで、2番目に多くなっています。
感染経路がたどれない場合も「飲食店」の可能性が高い
また、分科会では、実際にはもっと多くの割合で「飲食店」が原因になっていると見ています。
例えば、東京都の場合、感染経路がたどれない「孤発(こはつ)」が多く、感染者の感染経路が見えにくくなっています。
しかし、分科会では、感染経路が分からない感染の多くは、「飲食店」における「飲酒を伴なう会食」が原因ではないかと疑っているのです。
これは、過去のクラスター分析の結果や、感染経路がたどりやすい地方からの報告が根拠となっています。
「歓楽街」が原因、「家庭」や「院内感染」は結果
地域別の報告などでは、新型コロナウイルスの最新の感染場所として、「家庭」や、病院や施設などの「院内感染」が、「歓楽街」を上回ることが多くなっています。
これについて、分科会では、「歓楽街や飲食を介しての感染が、感染拡大の原因であり、家庭内感染や院内感染は感染拡大の結果である」としています。
つまり、歓楽街で感染した人が、家庭や病院などで感染を広めているというわけです。
新型コロナウイルスの感染が、さらに拡大しないようにするためには、根っこである「歓楽街」で感染しないように、元から絶たなければいけないと考えているのです。
分科会の提言を受けた政府や自治体が、このような方針で望むとすれば、酒を出す飲食店を中心とした歓楽街に対する営業時間の短縮や休業の要請が、引き続き行なわれることは間違いないでしょう。
人出が減って、新規感染者も「減少」の札幌
ここからは、実際のデータをもとに、飲食店の営業時間の短縮が、新型コロナウイルスの新規感染者数に影響することを確認してみましょう。
まず、「札幌市」のデータを見てみましょう。
札幌市の場合、歓楽街である「すすきの地区」において、酒を出す飲食店の営業時間が短縮されました。
それによって、すすきの地区の人出が大きく減りました。
すると、新規陽性者の数も減り始めたのです。
現在では、札幌市の感染拡大は止まり、「減少」に転じたと判断されています。
人出が減らず「拡大」が続く東京
一方、「東京」では、営業時間の短縮が要請されても、歓楽街の人出は、あまり減りませんでした。
すると、新規陽性者は減らず、「拡大」を続けています。
つまり、酒を出す飲食店の営業時間を短縮することが、すぐに新型コロナウイルスの感染予防になるわけではありません。
営業時間を短縮することによって、歓楽街に行く人を減らして、新型コロナウイルスに感染する機会を減らすことが重要なのです。
あまり人出が減らず「高止まり」の大阪
それがよく分かるのが「大阪」の例です。
こちらは、営業時間が短縮されることにより、歓楽街の人出は減りました。
ただし、札幌市ほど大きくは減りませんでした。
すると、新規陽性者は、ほぼ横ばいの状態で、あまり減りません。いわば、「高止まり」の状態になってしまったのです。
もっと大きく人出を減らさないと、酒を出す飲食店の店内で感染する機会を減らすことができないのです。
年末年始は静かな生活を
3つの都市の実例によって、歓楽街の人出と新規感染者との間には、ある程度の相関関係があることが分かりました。
札幌市、東京、大阪の例を見ると、「酒を出す飲食店の営業時間短縮」→「歓楽街の人出の減少」→「新規陽性者の減少」という流れを意図していることが分かります。
ただし、東京のように、せっかく営業時間を短縮しても、歓楽街の人出が減らなければ効果が上がりません。
そのため、分科会では、さらに営業時間を短縮することを検討するように提案しています。
年末年始は、あなたと家族の健康を守るために、歓楽街などに出かけるのを止めて、いつもの家族や友人とできるだけ静かに過ごしてください。