2020年の老人福祉事業者の倒産が過去最多。今年も厳しい見通し

[2021/1/10 00:00]

2020年の倒産件数が過去最多

調査会社の東京商工リサーチが、「老人福祉/介護事業」の倒産状況を公開しました。

2020年の倒産件数は「118件」で、介護保険が始まってからの20年間で最多となりました。

2016年から5年連続で、倒産件数が100件を超えています。

出典:東京商工リサーチ

訪問介護事業の倒産が半分を占める

倒産した企業の業種を見ると、ホームヘルパーが自宅を訪れる「訪問介護事業」が多く、47%と、ほぼ半分を占めています。

また、倒産した法人の半分以上が、「資本金が1億円未満」「従業員数が5人未満」「設立10年未満」に該当しており、小規模な事業者が事業を継続できずに倒産に至ったことが分かります。

そのため、倒産の件数は増えても、倒産した事業者の負債総額は増えていません。

出典:東京商工リサーチのデータをもとに編集部が作成

新型コロナウイルスも影響

2021年の介護事業者の倒産は、2つの要素が注目されます。

1つは「介護報酬の改定」で、2021年度はプラス0.7%に改定される予定です。

これによって介護事業者は収入が増える可能性があります。

もう1つは、「新型コロナウイルスの流行」です。

介護事業は、人と人とが接触する場面が多いだけに、新型コロナウイルスによって大きな打撃を受けます。

新型ウイルスの流行が続くと、介護を受けている人が、サービスの利用を控えるため、事業者の収入が減ります。

新型コロナウイルスの流行が続く限り、介護事業者にとって苦しい経営が続くことは避けられないでしょう。

[シニアガイド編集部]