負債総額が1千万円未満の小規模な倒産が、過去20年で最多に
少しの負債で潰れる小さな会社
私達が普段のニュースで触れる倒産は、大きな会社のものが中心です。
例えば、企業情報会社の東京商工リサーチや帝国データバンクが、倒産についてレポートするのは、原則として、倒産時の負債の総額が30億円以上のものです。
大きな会社の倒産は、周囲への影響が大きいため、どうしても負債総額が大きい倒産がニュースになるのです。
しかし、世の中には、小さな会社の方が多く、身近な存在です。
しかも小さな会社は、資金繰りが苦しく、小さな金額の負債が返せずに潰れてしまいます。
今回は、東京商工リサーチがレポートした「負債総額が1千万円未満」の小さな倒産について紹介しましょう。
過去20年で最多に
2020年に倒産した会社のうち、負債総額が1千万円未満の会社は「630件」ありました。
この件数は、2000年以降の20年間で最多でした。
やはり、新型コロナウィルスによる営業自粛など、厳しい経済環境が、小さな会社の倒産にも影響しているのです。
「サービス業」が半分を占める
小さな会社の倒産は、どんな分野が多いのでしょうか。
産業別で見ると、「サービス業、その他」が「300件」で、全体のほぼ半分を占めています。
次に多いのは「建設業」ですが、その数は「88件」に留まっています。
資本金は「500万円未満」が半分を占める
次に倒産した会社の種別と資本金の金額を見てみましょう。
倒産した企業の34%、つまり3分の1は「個人企業」(個人事業)が占めています。
そして、株式会社などの法人にしている場合でも、資本金が500万円未満の企業が多いことが分かります。
つまり、1千万円未満の負債で倒産してしまうのは、資本力が乏しい「個人企業」や、資本金が少ない零細企業が多いのです。
倒産の理由は「販売不振」
倒産の原因で一番多いのは、「販売不振」で450件でした。
全体に71%を占めています。
次に多いのが「他社倒産の余波」で71件でした。
例えば、グループの中核企業が倒産したときに、連鎖して倒産してしまうのです。
以下、「事業上の失敗」や、「赤字の累積」「運転資金の欠乏」など、収入が少なく、金銭的な余裕がないことが分かる原因が挙がっています。
小さな会社と経営者は切り離せない
小さい会社の場合、法人になっていても、経営者である個人との関係が深く、その影響を受けてしまいます。
例えば、代表者の個人破産に合わせて法人(企業)を倒産処理する場合や、代表者の死亡によって事業が止まる場合があります。
また、個人企業の「小規模個人再生手続き」を選択して、事業を再生する例もあります。
それだけ、小さな会社では、経営者と会社とは分けることが難しい、一体の存在なのです。
小さな会社を経営するときは、最後に、その会社をどう処分するのかも考えておきましょう。