「直葬が過半数」「葬儀と四十九日を同時に」など、大きく変わったコロナ禍の葬儀
コロナ禍の葬儀を振り返り
葬祭紹介業のユニクエストが、直近1年間の葬儀と法要に関するデータを公開しています。
この1年は、新型コロナウイルス感染症の流行期で、葬儀や法要についても大きな変化が見られました。
特に葬儀については、火葬のみの「直葬」が過半数を占めた時期もあり、新型コロナウイルス以前とは、異なる動きが目立ちます。
自粛傾向が強くなると「直葬」が増える
最初に、葬儀の形式の変化を見てみましょう。
この調査では、通夜や告別式が執り行なわれる「一般的な葬儀」と、式をせずに火葬のみ行なう「直葬」の割合を比べています。
新型コロナウイルスが流行する前の、2019年11月の時点では、「一般的な葬儀」は55%、「直葬」が45%でした。
もともとユニクエストが運営する「小さなお葬式」は、小規模な葬儀が多く、「直葬」の比率が高いのですが、それでも50%には届いていませんでした。
しかし、「第一波」の流行期である2020年4月には、「直葬」が53%、「一般的な葬儀」が47%と「直葬」の方が多くなりました。
ユニクエストでは、「直葬」が過半数となったのは、これが初めてとしています。
その後は「一般的な葬儀」が盛り返していますが、「直葬」が49%まで増える時期もありました。
新型コロナウイルスによる自粛要請などで警戒感が高まると「直葬」が増え、警戒が緩むと「一般的な葬儀」が増えることが分かります。
なお、「一般的な葬儀」でも、以前のように「通夜」と「葬儀」を2日に渡って行なう形式ではなく、式を1日で終わらせる「一日葬」を選ぶ人が増えています。
葬儀の場で「初七日」と「四十九日」も
次に、死者を弔う「法要」について見てみましょう。
下のグラフは、「四十九日」「一周忌」「三回忌」の3つの法要について、前年と比べた増減を見ています。
「四十九日」は、常に前年の実績を上回っています。
しかし、「一周忌」と「三回忌」については、「第一波」や「第三波」の流行によって自粛傾向が強まると、前年を下回ってしまいます。
とくに2020年11月からの「第三波」では、「三回忌」の減り方が激しく、前年比で35%もマイナスになりました。
ユニクエストでは、「コロナ禍が長引けば、三回忌法要は減少していく」と予想しています。
なお、葬儀の場で、「初七日法要」を一緒に行なうことが多いのですが、2021年に入ってからは「四十九日法要」も一緒に行なう事例が増えています。
四十九日は、お墓への納骨の目安でもあるので「四十九日法要をしたい」という気持ちは強いのでしょう。
しかし、「あまり頻繁に集まりたくない」という気持ちも強いので、葬儀に続いて、一緒に行なってしまうという形で解決しているのです。
今も相談件数が増え続けている
調査の結果から、「新型コロナウイルス」に対して、葬儀や法要が大きな影響を受けていることが分かりました。
実際に葬儀を行なう遺族にとっても、新型コロナウイルスに対する対応は難しい問題です。
ユニクエストも、新型コロナウイルスに関連する相談が寄せられています。
とくに、直近の第三波は、相談件数が増えつつあり、状況が悪化しつつあることが感じられます。
新型コロナウイルスの流行という事態を迎えて、「県外からの参列ができない」などの理由で、葬儀の規模を縮小する動きは強くなっています。
故人や喪主の意向も踏まえて、遺族が納得できる葬儀や法要の形を考えて行く必要があるでしょう。