新型コロナの陽性者が出た介護施設は「12%」。入院やPCR検査がすぐにできない場合も
介護事業者に聞いた新型コロナの影響
一般団法人 全国介護事業者連盟が、新型コロナウイルスの介護事業への影響を調査しています。
2021年1月に行なわれた調査には、全国の1,505事業所が回答しています。
回答を寄せている施設は、通所介護(デイサービス)が多く、訪問介護や老人ホームなども含まれています。
この記事では、介護サービスの利用者が新型コロナに感染した場合の対応の状況について紹介します。
陽性者が出た事業所は12%
介護サービスの利用者に「新型コロナウイルスの陽性者が発生した」事業所は、12.0%でした。
多くの事業所では、感染予防対策が功を奏して、利用者から陽性者を出していないことが分かります。
陽性者が発生した事業所では、平均で「3.8人」の陽性者が出ています。
翌日までに入院できたのは57%
介護施設を利用しているのは、高齢者が中心ですから、陽性者が出た場合は医療機関への入院が優先されます。
しかし、「即日または翌日」までに入院できたのは「57.8%」に留まりました。
医療機関への入院がすぐにできなかった人が4割以上もいることになります。
感染経路が特定できたのは64%
また、陽性者の感染経路が特定できた割合も「63.9%」に留まっています。
人の出入りが管理されている介護施設であっても、感染経路が特定できるとは限らないのです。
PCR検査が、すぐに受けられない
新型コロナウイルスであるという診断を確定するためにはPCR検査が欠かせません。
しかし、利用者や職員に発熱などの症状がある場合に、保健所にPCR検査を陽性しても、「即日または翌日」に検査が受けられたのは、半分足らずでした。
翌々日まで入れても8割ぐらいです。
感染の可能性があるときの状況の改善を
新型コロナウイルスに対して、介護施設の多くは感染を抑えることに成功しています。
しかし、いったん発熱などの症状が出たときに、入院や検査などにスムーズに移れていない様子がわかります。
このような現状なので、調査を行なった全国介護事業者連盟では、次のような要望を行なっています。
- 陽性となった要介護高齢者の入院待機の早期解消に向けた医療体制の確保
- 要介護高齢者及び介護従事者に対する優先的なPCR検査体制の確保
介護施設の利用者としても、感染の可能性がある場合には、早く対応してほしいのは当然でしょう。
現在は、医療現場が逼迫している状況なので、なかなか難しい要望ですが、少しでも状況が改善されることを期待しましょう。