新型コロナで「一日葬」が主流に。葬儀社の8割が減収
コロナ禍での葬儀社の声
葬儀サービス「よりそうお葬式」を運営する「よりそう」が、「新型コロナ感染拡大に伴う葬儀社向けアンケート」の結果を公開しています。
2021年1月に行なわれたインターネット調査には、よりそうと提携している90社が回答しています。
規模の小さいアンケートですが、新型コロナウイルスによる葬儀の変化が、よく現れた結果となりました。
8割の葬儀社が「売上が減少」
「新型コロナウイルスが売上に与えた影響」では、8割近くの葬儀社が「売上が下がった」としています。
「参列者」と「飲食」が減少
売上が下がった原因を見てみましょう。
新型コロナウイルスによって変わったのは「参列者数の減少」と「飲食機会の減少」です。
これは、葬儀社側の誘導ではなく、葬儀を行なう遺族による意向であることがわかります。
例えば、「弊社のみならずご家族も『クラスターの場にする訳にはいかない』と考えるケースが多く、自然と参列者が絞られているように思う」という声が寄せられています。
通夜を省略した「一日葬」が主流に
葬儀の参列者数が減少することによって、葬儀の形式にも変化が出ています。
もともと、よりそうでは「火葬式・直葬」や「一日葬」など、規模が小さい葬儀が主力でした。
しかし、新型コロナウイルスの流行後は、通夜を省略して1日で葬儀を終わらせる「一日葬」が増え、規模が大きい「一般葬」が減っています。
従来は、「一般葬」を選択していた遺族が、参列者を減らすために「一日葬」を選ぶようになったのです。
葬儀社からも「葬儀は家族のみで行なったほうが良いという意識が芽生えている。また、家族のみで行なうのであれば一日葬でも問題ないと家族は実感している」という声が寄せられています。
小さくなった葬儀は、元に戻らない
葬儀社は、新型コロナウイルスによる変化を受けて、今後の葬儀がどのように変わっていくと考えているのでしょうか。
寄せられたコメントからは、葬儀の形式が変わっていくことを受け入れている様子が分かります。
- 今後コロナ感染症が減少しても、お葬式の費用を抑える葬儀が増えると思う。
- 費用をかけずに行う葬儀が今後も増えると、返礼品、食事は質素または不要のものになる。
- 感染拡大によって葬儀様式が変わり、それが今後のスタンダードになっていくことで葬送儀礼文化の形骸化につながる恐れがある。送り方は変わっても故人を弔う気持ちを大切にした商品、サービスの提供が必要だと思う。
一方で、現状に応じた新しい試みも始まっています。
- タイミングをずらして焼香を実施することで密を回避しながら、なるべく多くの参列者を受け入れる「時差焼香」は受け入れられるケースが多いので、これを軸にサービス構築を進めたい。
- 火葬式と一日葬の間に当たるプランを作り、お別れメインのサービスを増やしている。
- 後悔がないように「通夜」の意味合いなどきちんと説明した上で、葬儀形式を選択していただく。
また、会食の代わりにお弁当を配布したり、お弁当の代わりにカタログギフトを渡す葬儀社も見られました。
新型コロナウイルスという厳しい状況にありながら、少しでも参列者に遺族の心を伝えるとともに、収益につなげるための試みが行なわれています。