新型コロナウイルス「第三波」の特徴。重症度や死亡率が上昇
11月に入院した3千人の状況
国立国際医療研究センターが、「新型コロナウイルスの入院患者の特徴」についてレポートを公開しています。
このレポートは、2020年3月から2021年1月までにデータが登録された、約1万9千人の入院患者のデータを集計したものです。
この記事では、2020年11月に入院した、3,053人を対象にして、いわゆる「第三波」と呼ばれる時期の入院患者の特徴を紹介します。
第三波は「重症」の割合が増えた
まず、2020年11月以降の「第三波」の特徴を見てみましょう。
入院時に「重症」だった人の割合は、5月以前の第一波では28.7%でした。
6月~10月の第二波で16.9%に下がりましたが、11月の第三波では20.7%に上昇しています。
つまり、第二波に比べて、第三波は入院時に「重症」である割合が大きくなっています。
第三波は「死亡率」が上がった
また、入院後の患者の予後でも、同じ傾向が見られます。
第一波に比べて、第二波は、死亡率が下がっていました。
入院時の症状が「軽症/中等度」の場合でも、「重症」の場合でも、死亡率は、ほぼ半分になりました。
しかし、「第三波」では、せっかく下がった死亡率が、再び上がっています。
このように「第三波」は、重症者の割合も、死亡率も高くなっており、油断できない状況であることが分かります。
20歳以上であれば入院患者の割合は変わらない
ここからは、「第三波」の入院患者の特徴を見ていきましょう。
11月に入院した人の年齢分布を見ると、20歳以下は少ないものの、それ以上の年代は、あまり差がないことが分かります。
つまり、新型コロナウイルスで入院する人の年齢は、20代から上ならば、年齢による差が少ないのです。
年齢が高くなると「重症」の患者が増える
しかし、新型コロナウイルスの重症度別に見ると、「年齢」が大きな影響を与えていることが分かります。
「30代」以下では、「重症」の患者の割合は、10%に届きません。
しかし、「40代」「50代」と重症の割合が増え始め、「80歳以上」になると40%に達します。
つまり、「80歳以上」で、入院した新型コロナウイルス患者の半分近くが「重症」なのです。
高齢の患者は「死亡率」が高い
新型コロナウイルス「第三波」の死亡率は、入院時に「軽症/中等度」であれば1.4%、「重症」であれば「12.3%」です。
しかし、これも患者の年齢によって大きな差があります。
例えば、「30代」以下であれば、入院時に「重症」であっても「死亡」に至る割合は、ほとんどゼロです。
また、「50代」までは、「重症」で入院しても、「死亡」する確率は高くありません。
しかし、「60代」「70代」と年齢が進むと、入院時に「重症」だった人の死亡率が、どんどん高くなっていきます。
「80歳以上」で、入院時に「重症」の場合、死亡率は26%に達します。
高齢の入院患者にとって、新型コロナウイルスは、死に至りやすい病気なのです。
まだ安心できる状況ではない
今回の調査によれば、「第三波」では、新型コロナウイルスに有効とされるレムデジビルやステロイドなどの薬の投与が増えており、重い症状への対応が進んでいることが伺えます。
それだけに、「第三波」において、重症者の割合や死亡率が上がっているのは不気味な状況と言えるでしょう。
マスクの着用や「三密」になりやすい状況を避けるという基本を守り、新型コロナウイルスに感染しないように努めましょう。
また、「第三波」においても、高齢者ほど重症になりやすく、死亡率も高いという傾向は変わっていません。
万が一、自分が感染した場合は、身近な高齢者に新型コロナウイルスをうつさないように配慮してください。