高齢男性が自殺しやすい「身体の病気」。年齢性別を問わない「うつ病」

[2021/3/22 00:00]

厚労省が自殺の統計を公開

厚労省が、2020年の自殺者についての統計を公開しています。

この記事では、自殺の原因として一番多い「健康問題」について、その特徴を紹介します。

自殺者の半分は「健康問題」が原因

2020年の自殺者数は「21,081人」でした。

そのうち、ほぼ半分にあたる「10,195人」が「健康問題」が原因とされています。

さらに、「健康問題」による自殺は、前年よりも増えており、自殺者数が11年ぶりに前年を上回った原因となっています。

出典:厚労省のデータをもとに編集部が作成

男女の差が少ない「健康問題」

自殺者全体に占める「男性」の割合は67%です。

つまり、自殺者のうち、3人に2人が「男性」です。

しかし、「健康問題」に限ると、「男性」の割合は56%しかありません。

自殺者全体に比べると、男性の割合が10%も低いのです。

「健康問題」による自殺は、男女差が少ないのが特徴です。

出典:厚労省のデータをもとに編集部が作成

70代男性は「健康問題」で悩む

「健康問題」による自殺者の年齢分布を見ると、男女とも「40代」以上で増えています。

とくに、「男性」の「70代」に多く、唯一、千人を超えています。

70代の男性は、「健康問題」に悩む年頃なのです。

出典:厚労省のデータをもとに編集部が作成

原因は「うつ病」と「身体の病気」が多い

今度は、「健康問題」の原因となる病気を見てみましょう。

一番多いのは「うつ病」で、全体の4割を占めています。

次に多いのが、ガンや脳卒中など「身体の病気」です。

この2つで、「健康問題」による自殺の7割近くを占めており、注意が必要な病気であることが分かります。

出典:厚労省のデータをもとに編集部が作成

性差や年齢差が少ない「うつ病」

自殺の原因として一番多い、「うつ病」による自殺について、もう少し詳しく見てみましょう。

「うつ病」を原因とする自殺は、性別や年齢による差が小さいのが特徴です。

うつ病による自殺者は、男性よりも女性の方が多く、40代以上では年齢による差も小さくなっています。

同じような傾向は「統合失調症」でも見られます。

「うつ病」や「統合失調症」などの精神疾患は、性差や年齢差を超えて、自殺を警戒すべき病気なのです。

出典:厚労省のデータをもとに編集部が作成

高齢の男性が多い「身体の病気」

一方、二番目に多い「身体の病気」による自殺は、高齢の男性が多いのが特徴です。

同じような傾向は「アルコール依存症」や「身体障害の悩み」でも見られます。

高齢の男性は、ガンなどの身体の病気や、身体障害の状態になったときに、「もうダメだ」とあきらめてしまいやすいのかもしれません。

出典:厚労省のデータをもとに編集部が作成

問題を持っていることが分かったら「声かけ」を

「健康問題」による自殺は、自殺者全体の半分近くを占めており、しかも前年よりも増えています。
新型コロナウイルスのために、自らの健康について考える機会も多く、今年も警戒が必要な状態です。

「健康問題」による自殺の7割は「うつ病」と「身体の病気」が占めています。

「うつ病」を始めとする精神疾患は、年齢や性別を問わず自殺に至っています。

一方、「身体の病気」を原因とする自殺は、高齢の男性に多いという特徴があります。

同じ「健康問題」を原因とする自殺であっても、原因となる病気によって、注意が必要な年齢や性別が異なるのです。

もし、自分が「健康問題」を抱えており、自殺を考えてしまったときは、誰かに相談することを考えてください。

周囲に相談できる人がいない場合は、公的な窓口も用意されています。

逆に、周囲に「健康問題」を抱えている人がいるときは、「声かけ」をしてみましょう。

周囲からは軽い病気に見えても、本人は深く悩んでいることもあります。

一つの声かけが、その人を「この世」に引き止める力になることもあるのです。

[シニアガイド編集部]