ほぼ9割が男性の「経済問題」による自殺者。一番多いのは「生活苦」

[2021/3/23 00:00]

厚労省が自殺の統計を公開

厚労省が、2020年の自殺者についての統計を公開しています。

この記事では、この資料をもとにして、二番めに多い原因である「経済/生活問題」による自殺者の特徴を紹介します。

「経済/生活問題」による自殺は、男性が87%を占めており、男性特有の自殺原因と言っても良い存在です。

なお、ここからは「経済/生活問題」を「経済問題」と略して表記します。

経済問題は二番目に多い自殺原因

2020年の自殺者数は「21,081人」でした。

その原因で一番多いのは「健康問題」ですが、次に多いのが「経済問題」です。

「経済問題」による自殺者は、「3,216人」ですが、そのうち「2,791人」が男性で、女性は「425人」しかいません。

出典:厚労省のデータをもとに編集部が作成

男性が9割近い「経済問題」の自殺者

2020年の自殺者全体に占める「男性」の割合は67%でした。

つまり、自殺者のうち、3人に2人が「男性」です。

しかし、「経済問題」に限ると、「男性」の割合は「87%」に上ります。

「経済問題」は、男女差が大きいのが特徴なのです。

出典:厚労省のデータをもとに編集部が作成

原因は「生活苦」と「多重債務」が多い

「経済問題」による自殺の原因を、もう少し細かく見てみましょう。

一番多いのが「生活苦」でした。

「生活苦」とは、収入が乏しく、生活に苦しむ状態です。家賃や食費など、生活に必要な資金に困るような状態を指します。

次に多いのが「多重債務」です。

「多重債務」とは、複数の金融機関に借金がある状態を指します。

多重債務になると、元金が返済できないことで、利息がどんどん増えて、返済が困難になります。

いずれも、圧倒的に男性が多いのは変わりません。

出典:厚労省のデータをもとに編集部が作成

「生活苦」は50代が中心

「生活苦」で自殺した人の年齢分布を見てみましょう。

一番多いのが「50代」です。

「40代」から増え始め、「60代」までが多くなっています。

出典:厚労省のデータをもとに編集部が作成

「生活苦」による自殺者は、どんな素性の人なのでしょうか。

職業別に見ると、「無職」が一番多くなっています。

次に多いのがサラリーマンなどの「勤め人」ですが、「無職」はその2倍以上います。

「生活苦」の自殺者は、働き口がない現役世代が中心なのです。

出典:厚労省のデータをもとに編集部が作成

40代が多い「多重債務」

一方、「多重債務」による自殺者は、「40代」が一番多くなっています。

しかし、「20代」から「50代」まで、あまり差がなく、現役世代ならば年齢は問わないようです。

出典:厚労省のデータをもとに編集部が作成

「多重債務」の自殺者の職業は「勤め人」が一番多くなっています。

「勤め人」は、信用度が高く、借金がしやすいので、それが影響しているのでしょう。

出典:厚労省のデータをもとに編集部が作成

一人で悩まず、誰かに相談を

「経済問題」による自殺は、「生活苦」も「多重債務」も、現役世代の男性が多いのが特徴です。

現役世代の男性は、勤め先以外の人間関係が希薄で、周囲の人にも相談できず、自らを自殺へと追い込みやすいとされています。

2020年からは新型コロナウイルスによる雇い止めやリストラが始まっており、今後も経済問題で追い込まれる人が増えることが予想されます。

そのような状況に対応するために、無利子で最大20万円まで借りられる「緊急小口資金」などの制度が用意されています。

また、金融庁のように「多重債務」専用の相談窓口を用意している例もあります。

まずは、一人で悩まずに、公的な窓口などに相談し、生活費を確保することを考えてください。

[シニアガイド編集部]