「役職定年」になった人の8割は収入が減る
「役職定年」経験者へのアンケート
リクルートマネジメントソリューションズが、「ポストオフ経験による意識調査」の結果を公開しています。
「ポストオフ」とは、年齢制限によって、会社の役職を外れる経験を指します。
この記事では、分かりやすいように「役職定年」と呼びます。
2021年3月に行なわれたインターネット調査には、50歳~64歳で、役職定年の経験がある766人の正社員が回答しています。
「賃金が下がった」人が8割以上
役職定年前と比較したときの現在の仕事の変化を聞いています。
一番多いのは「賃金が下がった」で8割以上の人が挙げています。
多くの場合、「役職定年」で役職を離れると、その手当などが無くなり、収入が減ります。
続いて、「周囲からの期待が下がった」が5割を超えています。
役職を外されたことで、会社や同僚からの、自分への期待が下がったと感じる人が多いのです。
働く意欲が「変わらない」人は3割しかいない
「役職定年後のやる気」について聞いています。
役職定年後も、働く意欲が「変わらない」人は3割しかいません。
そして、役職定年後に「やる気が下がったまま」の人が4割を超えます。
多くの人は、役職定年をきっかけとして、仕事へのやる気を失ってしまうのです。
また、仕事に対するやる気が「一度下がった」人は、「下がったまま」になることが多く、「一度下がって上がった」人は多くありません。
つまり、いったん下がってしまった「やる気」を、元のように取り戻せる人は少ないのです。
失ったものは「給与」「期待」「情報」
「役職定年によって失ったものと得たもの」を、コメントの形で聞いています。
失われたものは「給与」や「期待」「情報」でした。
そして、得たものは「時間」や「自由」「余裕」です。
例えば、つぎのようなコメントが寄せられています。
- 以前と同様な仕事なのに、給料が下がることへの不満がある。自由時間の増加(58歳男性)
- 職務内容は大きく変わらず、範囲が広がり、やりがいも感じるが、給料が目減りしたいことに慣れないといけない(59歳男性)
- 仕事へのモチベーションがこれほど減るとは思わなかった(57歳女性)
- 権限と情報入手量の大幅低下で、会社で何が起こっているのかが、まったく分からなくなった(60歳男性)
これらのコメントからも、「役職定年」によって、「給与」と「役職」を失う機会となってしまうことで、仕事に対するやる気が下がることが分かります。
「役職定年」後も活躍するためには、お金やポストに縛られず、自分の強みや関心を生かして、仕事に楽しみを見出すことが必要なのです。