新型コロナ禍でも、介護事業者の新規参入が増加
新規参入企業がコロナ前を上回る
企業情報調査会社の東京商工リサーチが、2020年に設立された「介護事業者」が、新型コロナ流行前の前年を超えたと発表しました。
新たに設立された介護事業者の法人は「2,746社」で、2019年の「2,489社」を上回りました。
介護報酬に左右される新規参入数
介護事業への新規参入は、2013年がピークでしたが、2015年に介護保険の報酬がマイナスに改定されたこともあり、2014年から5年連続で減少が続きました。
しかし、2018年に介護保険の報酬がプラスに改定されたこともあり、2019年には底をつき、2020年にはさらにそれを上回りました。
新規参入の8割が「訪問介護」
新規参入した介護事業者の業種は、その8割以上が「訪問介護事業」でした。
「訪問介護事業」は、ヘルパーが自宅を訪問するので、介護を受ける人を収容する設備が必要ありません。
規定の人員さえ集まれば、初期投資が少なくて済み、新規参入しやすい業種なのです。
次に多いのが「通所/短期入所介護事業」でした。
本格的な設備投資が必要な「有料老人ホーム」への参入は3%程度に留まっています。
退場者も多い「介護事業」という業種
2020年は、介護事業者の新規参入が多い年でした。
しかし、介護事業者の道のりは平坦ではありません。
同じ2020年には、118件の倒産があり、455件の休廃業/解散がありました。
つまり、新規参入した会社の2割にあたる数の会社が、市場から退場しているのです。
介護報酬の改定に業績が左右される上に、常に人手が不足する業態だけに、市場で生き残ることは簡単ではありません。
さらに、現時点では新型コロナウイルスのために、厳重な感染予防対策が求められており、介護事業者の負担は重くなっています。
それでも介護事業は、高齢者の増加を受けて、今後も需要が期待できる業界だけに、新規の参入が途絶えることはないでしょう。