新型コロナ禍でも、介護事業者の新規参入が増加

[2021/6/22 00:00]

新規参入企業がコロナ前を上回る

企業情報調査会社の東京商工リサーチが、2020年に設立された「介護事業者」が、新型コロナ流行前の前年を超えたと発表しました。

新たに設立された介護事業者の法人は「2,746社」で、2019年の「2,489社」を上回りました。

介護報酬に左右される新規参入数

介護事業への新規参入は、2013年がピークでしたが、2015年に介護保険の報酬がマイナスに改定されたこともあり、2014年から5年連続で減少が続きました。

しかし、2018年に介護保険の報酬がプラスに改定されたこともあり、2019年には底をつき、2020年にはさらにそれを上回りました。

出典:東京商工リサーチのデータをもとに編集部が作成

新規参入の8割が「訪問介護」

新規参入した介護事業者の業種は、その8割以上が「訪問介護事業」でした。

「訪問介護事業」は、ヘルパーが自宅を訪問するので、介護を受ける人を収容する設備が必要ありません。

規定の人員さえ集まれば、初期投資が少なくて済み、新規参入しやすい業種なのです。

次に多いのが「通所/短期入所介護事業」でした。

本格的な設備投資が必要な「有料老人ホーム」への参入は3%程度に留まっています。

出典:東京商工リサーチのデータをもとに編集部が作成

退場者も多い「介護事業」という業種

2020年は、介護事業者の新規参入が多い年でした。

しかし、介護事業者の道のりは平坦ではありません。

同じ2020年には、118件の倒産があり、455件の休廃業/解散がありました。

つまり、新規参入した会社の2割にあたる数の会社が、市場から退場しているのです。

介護報酬の改定に業績が左右される上に、常に人手が不足する業態だけに、市場で生き残ることは簡単ではありません。

さらに、現時点では新型コロナウイルスのために、厳重な感染予防対策が求められており、介護事業者の負担は重くなっています。

それでも介護事業は、高齢者の増加を受けて、今後も需要が期待できる業界だけに、新規の参入が途絶えることはないでしょう。

[シニアガイド編集部]