離婚が少ないのに子供を持たない「東京」と、離婚が多いのに子供が多い「沖縄」
他県とはかけ離れた東京と沖縄の姿
日本の人口問題を考える上で、「結婚」の話題は欠かせません。
そして、「結婚」に関して、地域別のデータを見ていると、「東京都」と「沖縄県」の異端ぶりが目に付きます。
この2つの県は、他の県とはかけ離れた特徴的なデータを示しており、「結婚」の背景にある社会的な環境がユニークなものであることが表れています。
この記事では、「婚姻率(こんいんりつ)」「離婚率」「合計特殊出生数」の3つのデータを使って、この2つの地域の特徴を紹介します。
「結婚しやすい」県のトップを争う
まず、県別の「婚姻率」を見てみましょう。
「婚姻率」は、その1年間で結婚する人の割合を、人口1,000人当たりの数字で表します。
「婚姻率」の全国平均は4.30ですから、だいたい230人に1人ぐらいの割合で結婚していることになります。
1位の東京は「5.50」で、2位の沖縄は「5.10」です。
「婚姻率」が5を超えているのは、この2県だけです。
実は、「婚姻率」が全国平均を超えているのは6県しかありません。
なかでも、東京と沖縄は「結婚しやすい県」と言えるでしょう。
婚姻率の上位
- 東京 5.50
- 沖縄 5.10
- 愛知 4.80
- 大阪 4.80
- 福岡 4.50
- 神奈川 4.40
- 全国 4.30
離婚が多い「沖縄」、離婚が少ない「東京」
ともに婚姻率が高い、東京と沖縄ですが、「離婚」に関しては正反対の結果となります。
「離婚率」の全国平均は「1.57」でした。
そして、離婚率が1位の沖縄は「2.37」と2を超えています。
一方、東京の離婚率は、全国平均を下回る「1.55」で、全国でも23位です。
沖縄は離婚しやすく、東京は離婚しにくい地域なのです。
なお、離婚率が一番低いのは新潟で「1.21」です。
離婚率の上位
- 沖縄 2.37
- 宮崎 1.80
- 福岡 1.78
- 北海道 1.75
- 大阪 1.72
- 大分 1.70
子供が多い「沖縄」、子供が少ない「東京」
最後に、「合計特殊出生数」を見てみましょう。
合計特殊出生率は、「一人の女性が一生の間に生む子供の数」を示します。
「合計特殊出生数」の全国平均は「1.34」ですから、夫婦2人から1.34人の子供が生まれる計算になります。
「合計特殊出生数」が全国で一番大きいのは、沖縄で「1.86」でした。
2位の島根は「1.69」ですから、沖縄は飛び抜けて子供を産む決断をしやすい県です。
一方、一番小さいのは東京で「1.13」です。
合計特殊出生数が2番目に少ない宮城は「1.21」ですから、東京とは大差があります。
東京は、飛び抜けて子供を産まない決断をしやすい県なのです。
合計特殊出生数の上位
- 沖縄 1.86
- 島根 1.69
- 宮崎 1.68
- 長崎 1.64
- 鹿児島 1.63
- 佐賀 1.61
- 福井 1.61
- 熊本 1.60
何かを決断するときには、背中を押す理由がある
東京と沖縄は、いずれも「婚姻率」が高い県ですが、「離婚率」と「合計特殊出生数」については対照的な存在です。
「東京都」は、結婚する人が多く、離婚が少なく、子供を持つ人が少ないという特徴があります。
一方「沖縄県」は、結婚する人が多いのは同じですが、離婚が多く、子供を持つ人が多いのです。
東京都と沖縄県の、それぞれの特徴からは、データの背景となっている社会が、大きく異なっていることが感じられます。
結婚に対する周囲の態度、2人で暮らしやすい経済的状況、離婚をしても生活できる環境、子供を持つことに対するプレシャーと負担、子育てを手伝ってくれる周囲の人間関係など、さまざまな要素が考えられます。
そして、「結婚」という人生の選択を考える際には、「結婚」だけではなく、その先の「離婚」や「出産」も含めて考えないと、その地域の特徴をつかめないことが分かります。
「東京ではどうして離婚が少ないのに子供を産まないのか」、「沖縄では離婚が多いのに子供を産む人が多いのか」という問いの答えを考えると、その地域の結婚の実情が見えてくるかもしれません。