新型コロナによる「受診控え」で、健保の医療費が初めて減少。収入にも影響が及ぶ

[2021/7/5 00:00]

新型コロナで医療費が減少

「全国健康保険協会(協会けんぽ)」によれば、2020年度の医療費が、大きく減少しました。

協会けんぽでは「新型コロナウイルスの影響による、医療機関の受診控え」が原因としています。

新型コロナウイルスによる、受診控えは、医師の収入減少という形で、早くから報告されていましたが、医療保険の支払金額でも裏付けられました。

前年度に比べて3.5%の減少

もう少し詳しく数字を見てみましょう。

多くの会社員が加入している協会けんぽの2020年度の医療費は、前年度に比べて3.5%も少なくなりました。

2020年度は、1人当たり「138,280円」に留まっています。

1人当たりの医療費は、前年度よりも減少したのは、2008年に協会けんぽが発足して以来、これが初めてです。

特に、最初の緊急事態宣言が発令された、2020年4月と5月に、医療費が大きく低下しました。

「緊急事態宣言」による不要不急の外出の自粛が、医療機関の受診控えにつながったことが分かります。

出典:協会けんぽのデータをもとに編集部が作成

収入にも影響、給与もボーナスも減少

協会けんぽの保険料は、給与から計算される「標準報酬月額」という数字によって決定されます。

つまり、協会けんぽは、加入者の給与の動向も、ある程度把握しています。

2020年度の「標準報酬月額」は「29万516円」で、前年の「29万592円」からわずかにマイナスとなりました。

「標準報酬月額」は、2013年からずっと増加が続いており、マイナスとなったのは7年ぶりです。

出典:協会けんぽのデータをもとに編集部が作成

また、ボーナスを計算するための「平均賞与支払月数」も、前年度の「1,491カ月」から「1.430カ月」に減少しました。

協会けんぽに加入しているのは、生活が安定した正社員が中心ですが、それでも新型コロナウイルスによって、すでに収入に影響が出始めているのです。

特に、「給与」よりも調整しやすい「ボーナス(賞与)」の金額が減っており、今後は「給与」についても減額が及ぶ可能性があります。

出典:協会けんぽのデータをもとに編集部が作成

今後も楽観できず、影響に注意を

今回の協会けんぽのレポートでは、会社員の医療費に対して、新型コロナウイルスの影響が大きかったことが分かりました。

さらに、収入についても、すでに新型コロナウイルスの影響が及び始めており、今後も大きく減る可能性があります。

雇用条件が安定している正社員であっても、新型コロナウイルスによって、自分の待遇に変化があることを覚悟しておきましょう。

[シニアガイド編集部]