孤独死の特徴は「男性」「60代」「病死」
4千件のデータで分かる「孤独死」
一般社団法人 日本少額短期保険協会が「第5回孤独死 現状レポート」を公開しています。
このレポートは、協会に加盟している保険会社が扱った案件から、孤独死に関連したデータを集計したものです。
今回のレポートでは、2015年4月から2020年3月に発生した4,448件のデータを対象としています。
孤独死による損害を対象とする保険のデータなので、賃貸住宅に入居していた人が主な対象となっています。
孤独死の8割以上が「男性」
このレポートでは、「孤独死」を「自宅内で死亡した事実が死後判明に至った1人暮らしの人」と定義しています。
対象となった4,448人のうち、83.1%が「男性」でした。
孤独死しやすいのは、圧倒的に「男性」なのです。
孤独死は「60代」が多い
孤独死者の平均年齢は「61.6歳」でした。
年齢の分布を見ても、一番多いのは「60代」です。
「孤独死」と聞くと、高齢者の問題と思われがちですが、現役世代と高齢者の境界である「60代」が危ないのです。
孤独死の6割以上が「病死」
孤独死の原因は、「病死」が一番多く、全体の6割以上を占めています。
つまり、脳や心臓の病気で急死してしまった人や、慢性の病気で医師にかからずに死亡してしまった人なのでしょう。
なお、「自殺」は10%ほどですが、一般の死者の自殺率は1.4%なので、それに比べると7倍も高くなっています。
「3日以内」に見つかる人も4割いる
孤独死が発見されるまでの日数で一番多いのは「3日以内」です。
孤独死の4割は「3日以内」という、意外と早い段階で見つかっています。
ただし、平均日数は「17日」なので、死後すぐに見つからないと長期化することが分かります。
「近親者」よりも「職業上の関係者」
孤独死の第一発見者で一番多いのは「管理」の人です。
ここで言う「管理」とは、住居の管理人やオーナーを指します。
第一発見者の多くは、孤独死者の近親者ではなく、職業上の関係者です。
「管理」以外でも、ガスや水道などの検針員、消防や警察など、職業上の関係者に見つかる例が少なくありません。
早く見つかるのは、誰かの「訪問」
孤独死が発見された原因で一番多いのは「音信不通/訪問」です。
特に、3日以内に発見されたケースでは、そのほとんどが音信不通なのを不審に思って訪ねて来た人に発見されています。
孤独死から時間が経つと、「異臭」や「郵便物の滞留(ポストからのあふれ)」など、周囲に分かる異常が多くなります。
また、「家賃の滞納」で見つかる人が多いことから、家賃が銀行口座からの口座引き落としや、クレジットカード払いになっていない物件が意外と多いことが分かります。
人とのつながりが孤独死を避けるコツ
レポートの結果を見ていると、孤独死を避けるためのヒントが見えてきます。
まず、「病死」が多いことから、健康管理の重要性と、体調が悪いときには病院に行くことの大切さが分かります。
そして、職業上の関係であっても、人とのつながりが重要です。
公的な関係であっても、人とのつながりがあれば、困ったときに相談できますし、孤独死の前に発見される可能性があります。
また、孤独死してしまった場合でも、人とのつながりがあれば、「訪問」によって「早期発見」される可能が高く、悲惨な状況を避けることができます。
「孤独死」の被害は家屋に及ぶ
最後に、孤独死は、当人だけの問題ではなく、住んでいる住まいにも大きな損害を与えます。
孤独死の損害額は、残された家具などの処理が「平均22万円」、家屋の原状回復に「平均38万円」、未払いの家賃が「平均30万円」と大きな金額になります。
万が一、親族の誰かが孤独死をすると、これらの賠償を求められる可能性もゼロではありません。
もし、離れて住む親族の孤独死が心配なときは、各種の「見守りサービス」などの導入も検討してください。