新型コロナで亡くなられた方は、どんな葬式が行われたのか
コロナで亡くなった人の葬儀
葬儀終活相談窓口「やさしいお葬式」が、新型コロナウイルスで亡くなられた方へのお葬式を紹介しています。
「やさしいお葬式」が扱った新型コロナで亡くなった方の葬式の内容は、下のグラフのようになります。
「火葬のみ」が一番多い
一番多いのは、「対面をせず火葬のみ」で、全体の81%を占めます。
これはいわゆる直葬(じきそう)ですが、一般の直葬と違い、顔を見ることやお棺を開けて対面することはできません。
新型コロナで亡くなった方の葬式は、厚生労働省が定めた遺体搬送と火葬方法を遵守した方法で行なわれます。
この規定では、新型コロナウイルスで亡くなった方の遺体を「納体袋」と呼ばれる袋に入れることになっており、基本的には遺体と接触することができません。
そのため、お棺の蓋を開けることができないのです。
お棺の蓋を開けるには「エンバーミング」が必要
次に多いのは「お棺の蓋を開けてお別れ」をする葬儀で、全体の12%あります。
新型コロナで亡くなった場合、お棺の蓋を開けるためには、遺体に「エンバーミング」と呼ばれる処理を行なう必要があります。
「エンバーミング」とは、遺体を殺菌・消毒し、血液を抜いて防腐溶液を入れるなどの処理を行ないます。
本来は遺体を長期間保存するための技術ですが、遺体に触れても感染の恐れがないという利点もあるのです。
エンバーミングは、専門資格を持ったエンバーマーにより行なわれ、ある程度の日数と費用が必要になります。
一例として、やさしいお葬式では、エンバーミング料金は33万円からとなっています。
「お顔を見るだけ」という方法もある
割合としては7%と少ないのですが「お顔の部分のみ拝顔してお別れ」という方法もあります。
これは、お棺の顔の部分の窓を開けて、拝顔するというものです。
透明なビニール袋と納体袋を組み合わせて使うなどの方法があります。
ただし、お棺のガラスごしに顔を見るだけで、触れたりすることはできません。
葬儀の代わりに「お別れ会」を行なう
新型コロナウイルスで亡くなられた方は、原則として速やかに火葬(荼毘)に付され、遺骨として遺族のもとにお帰りになるため、ご葬儀をあげることが簡単ではありません。
そのため、やさしいお葬式では、直葬の後に、故人とのお別れを告げる機会となるお別れ会(後葬)を提案しています。
お別れ会では、通常の葬儀のように故人の遺骨とのお別れとなりますが、その他の儀礼は、ほぼ通常のご葬儀と同じように行なわれます。
もともと、一部の地域では、「骨葬(こっそう)」と言って、通夜の後に火葬をして、お骨の状態で葬儀を行ないます。
それと同じように、祭壇にお骨をあげて、葬儀を行なうわけです。
「新型コロナのおかげで、まともな葬式もできなかった」という悔いを残さないためには、お骨の状態で葬儀やお別れ会を行なうというのは一つの方法でしょう。