もう、一握りの人しか入院できない、東京都の新型コロナ状況
追い詰められた東京都の状況
8月11日に行なわれた政府の専門家会議において、東京都の療養の状況が報告されました。
この資料により、東京都の新型コロナ用病床は、すでに余裕が無くなっており、新たに陽性と分かった患者の多くが自宅療養となっていることが分かりました。
公開された資料をもとに、東京都の療養の現状を紹介します。
7割が使われている「重症者用の病床」
最初に、新型コロナ専用に用意されている病院のベッド(病床)の使用率を見てみましょう。
東京都を含む一都三県で、「重症者用の病床」の使用率を見ています。
東京都と神奈川県では、使用率が70%を超えています。
これを見ると、「なんだまだ30%余裕があるじゃないか」と思ってしまいますが、実はそうではありません。
これは「空きがある」のではなく、本当の重症者のために「無理矢理に空けている」のです。
大きく増えた「自宅療養」
それが分かるのが、入院などの療養先を調整する保健所の資料です。
6月以降の調整の状況を見ると、「自宅療養」と「入院・療養等調整中」の2つが大きく伸びています。
一方、病院への「入院」とホテルでの「宿泊療養」は、減り始めています。
つまり、病院や借り上げたホテルの余裕が無くなり、収容できない人が「自宅療養」になっているのです。
ある程度、症状が重い人は「入院・療養等調整中」とされますが、こちらも必ず入院できるわけではありません。
保健所の調整を待ちながら、「自宅療養」が続く可能性が高いのです。
保健所はパンク寸前
「自宅療養」や「入院・療養等調整中」が増えると、症状の確認や病院との連絡などで、保健所の仕事が増えます。
すでに、療養の調整に関わる業務量は、2021年1月の「第3波」のピーク時をはるかに超えています。
この仕事量を見ると、保健所がパンク寸前であることは間違いないでしょう。
つまり、「自宅療養」をしていても、保健所からのサポートは限られたものになるでしょう。
もし、「自宅療養」になったら、本当に「重症」になったときに備えて、自分自身で病状を把握するしかありません。
できれば、体温計やパルスオキシメーター(酸素濃度計)など、病状を把握するための医療機器を、手元に準備しておきましょう。
入院できない人が8割を超える
東京都の資料によれば、新規陽性者のうち「入院」できる人は11%、「宿泊療養」が6%でした。
つまり、残りの80%以上は、実質的に自宅で療養するしかない状況なのです。
私達は、平時の感覚で「新型コロナウイルスに感染しても、いざとなったら入院して治療してもらえる」と考えてしまいます。
しかし、すでに、東京都の流行の現状は、それが不可能な状況です。
「いざとなったら」にならないように、新型コロナウイルスの予防につとめ、「感染しない」ことを目標にして生活してください。