「もはや、災害時と同じ状況」に追い込まれた東京都の新型コロナ
「もはや、災害時」
8月12日に開催された、東京都の会議において、現状は「新規陽性者数が急増しており、制御不能な状況である」であり、「もはや、災害時と同様に、自分の身は自分で守る感染予防のための行動が必要な段階である」という厳しいコメントが公開されました。
このコメントは、新型コロナウイルス感染症の新規陽性者が、1週間平均で3千人を超える現状を指して発言されたものです。
このようなコメントが出てくるほど追い詰められた、東京都の新型コロナウイルスの流行状況を見てみましょう。
2週間前の2倍になった「新規陽性者数」
東京都では、新型コロナの新規陽性者数は、過去7日間の平均で「約3,934人/日」でした。
3千人を大きく超え、4千人に近い状況です。
そして、この数字は、2週間前の約1,936人/日から倍増しています。
この状況が「かつてないほどの速度で感染拡大が進み、新規陽性者数が急増しており、制御不能な状況」なのです。
また、過去7日間の新規陽性者の平均は、7週間連続で増加が続いています。
感染者の増加が止まらない、この状況について「災害レベルで感染が猛威を振るう非常事態である。もはや、災害時と同様に、自分の身は自分で守る感染予防のための行動が必要な段階である」とコメントされています。
東京都には「緊急事態宣言」が出されていますが、それでも新型コロナウイルスの新規陽性者は、増え続けており、追い込まれた状況になっているのです。
この増加傾向が続くと、2週間後の8月25日には、新規陽性者数が現在の1.3倍に増え、「5,113人/日」に達する見込みです。
80%を超えた「デルタ株」の割合
新型コロナウイルスの新規陽性者数が増え続ける原因の一つとして、従来の「アルファ株」よりも感染力が強い「デルタ株」の流行が挙げられています。
東京都でも、デルタ株の割合が、8月1日時点では81.7%に達しました。
デルタ株の割合は7月25日時点では、64.6%でしたから、急速に置き換わっていることが分かります。
85%の人は「自宅療養」になる
新規陽性者であることが分かった人は、なんらかの療養が必要となります。
東京都の「療養者数」は、8月11日時点で「3万5,689人」に達しています。
これは、1週間前と比べても5千人以上増えています。
しかも、療養者のうち、病院に「入院」できた人は10%しかいません。
借り上げたホテルでの「宿泊療養」も5%です。
つまり、残りの85%は、「自宅療養」または「入院・療養等調整中」です。
「入院・療養等調整中」は、「入院」や「宿泊療養」を待っている状態ですが、行き先が見つからなければ自宅療養が続くことになります。
すでに現状は、新規陽性者になったからと言って、すぐに入院できるような状態ではありません。
よほどの重症でなければ、「自宅療養」になると覚悟しておくべきでしょう。
できれば、体温計やパルスオキシメーター(酸素濃度計)など、病状を把握するための医療機器を、手元に準備しておきましょう。
ワクチンの接種率は36%
新型コロナの感染予防の柱である「ワクチンの接種」は進んでいるのでしょうか。
8月11日時点の東京都のワクチン接種状況は、接種対象となっている12歳以上では1回目51.4%、2回目36.0%です。
まだ接種率が足りない状況です。
そして、65歳以上の高齢者に限ると、1回目85.3%、2回目79.7%でした。
こちらは、かなり行きわたった状況です。
ワクチン接種の効果を最大限に期待するには、2回目接種後、2週間を要するとされています。
ワクチン接種を希望する人には、できるだけ早く接種することが大切です。
もし、あなたや、あなたの家族がワクチンの接種が可能な状況であれば、すぐに接種することを検討してください。
また、ワクチンを2回接種した後も感染する可能性はゼロではありません。
接種後も、マスクの着用や、人混みを避けるなどの基本的な感染防止対策を続けてください。