コロナの致死率が18%まで上がる「重症化リスク」の危険性
悪い生活習慣や持病がリスクになる
新型コロナウイルス感染症では、感染した人が、悪い生活習慣や持病を持っていると、症状が重くなるとされています。
これを「重症化リスクを持っている」と表現します。
では、どのリスクを持っていると、どれぐらい死亡する割合(致死率)が上がるのでしょうか。
国の対策会議に提出された資料をもとに、グラフで紹介します。
この資料では、2021年4月から6月までの3カ月間に、国のデータベースに登録された約32万人の症例をもとに分析しています。
リスクの種類で致死率が変わる
今回の調査では、「喫煙」「肥満」から、「慢性腎臓病」まで、9つの「重症化リスク」を選び、それぞれ致死率を求めています。
下のグラフで「因子あり」としているのが、その習慣や病気を持っている人です。
例えば、「喫煙」の習慣がない人は、致死率が0.74%ですが、習慣があると0.99%に上がります。
「肥満」では、0.75%と1.55%ですから、太っていると死亡する確率が2倍以上に増えることがわかります。
さらに肺気腫などの「慢性閉塞性肺疾患(COPD)」や「慢性腎臓病」では、その持病を持っているかどうかで、致死率が10倍以上も上がります。
もっとも致死率が高い「慢性腎臓病」の場合、致死率が「14.00%」ですから、新型コロナにかかると7人に1人の割合で死亡していることになります。
重い持病を持っている人ほど、新型コロナに感染しないように予防する必要があるのです。
リスクを複数持っていると、致死率が上がる
今回の調査では、「持っているリスクの数が増えれば増えるほど致死率が高い」ことも分かりました。
「重症化リスク」を複数持っている人は珍しくありません。
例えば、「喫煙」と「慢性閉塞性肺疾患」や、「肥満」と「高血圧」のように、1つの重症化リスクを持っていると、それが原因となって別のリスクを引き寄せてしまうのです。
何もリスクを持っていない人の致死率は「0.41%」です。
しかし、1つリスクを持っているだけで「1.38%」と、致死率が3倍に上がります。
そして、2つ持っていると「3.80%」、3つ持っていると「5.20%」と上がります。
重症化リスクを4つ以上持っていると、「9.69%」ですから、リスクを持っていない人に比べると、20倍以上も致死率が高くなります。
同じリスクでも、高齢者ほど致死率が上がる
もう一つ、重要なことがあります。
それは「同じリスクを持っていても、年齢が高い人ほど致死率が上がる」ことです。
「慢性腎臓病」を例にして紹介しましょう。
「慢性腎臓病」の全年齢の平均の致死率は「14.00%」です。
しかし、本人の年齢が「40~49歳」に限ると、致死率は「1.42%」しかありません。
しかし、「50~64歳」になると「6.59%」まで上がります。
さらに「65歳以上」に限ると、致死率は「18.00%」まで上がります。
致死率が18%ということは、感染した人の6人に1人の割合で死亡していることになります。
重い持病を持っている高齢者は、新型コロナに感染しないように、特に注意が必要なのです。
「重症化リスク」を確認して、ワクチンの接種を
今回の調査により、「重症化リスクを持っている人」は致死率が高いことが裏付けられました。
さらに、1人で複数のリスクを持っていたり、年齢が高い人は、致死率が上がります。
これまでも、重症化リスクを持っている人や、高齢者は、新型コロナウイルスのワクチンを優先的に接種されてきましたが、その方針が正しかったことが分かります。
もう一度、9つのリスクを見て、自分がいくつ持っているか、確認しておきましょう。
そして、複数のリスクを持っていたり、自分が高齢の場合は、できるだけ早く、ワクチンの接種を検討してください。