「自宅」は「学校」よりも危険!? 子供たちは、どこで新型コロナに感染しているのか
未成年者の感染場所を探る
新型コロナウイルス感染症は、高齢者へのワクチン接種が進むにつれて、若年層の感染に注目が集まっています。
特に、長い夏休みが終わり、新学期を迎える、この時期は、学校での感染を危ぶむ人も少なくないでしょう。
では、実際には、新型コロナに感染した児童生徒は、どこで感染しているのでしょうか。
この記事では、政府の専門家会議に提出された資料をもとに、年齢別に紹介します。
「幼児」の感染が一番多いのは「自宅」
最初に、「幼児」に相当する「3~5歳」のデータを見てみましょう。
この年令で、一番多いのは「自宅」で、全体の6割を占めています。
次に多いのが「児童福祉施設」、その次が「学校等」です。
これらは、「こども園」や「幼稚園」「保育園」などの施設を指すと思われます。
この2つを合わせると4割ですから、家庭外での感染にも一定の注意が必要なことが分かります。
結論として『幼児は「自宅」での感染がもっとも多い。家庭外の施設にも配慮は必要』と考えてください。
「小学生」の感染の7割は「自宅」
次に、「小学生」に相当する「6~12歳」のデータを見てみましょう。
この年令でも、一番多いのは「自宅」で、全体の7割以上を占めます。
「学校等」は意外なほど少なく、全体の15%ほどです。
『小学生は、学校での感染よりも自宅での感染がずっと多い』と思って良いでしょう。
「中学生」も「自宅」での感染が6割
「中学生」に相当する「13~15歳」のデータを見てみましょう。
この年令でも、一番多いのは「自宅」で、全体の6割を占めます。
ただし、「学校等」の割合が増え、全体の3割を占めます。
『中学生は「学校等」での感染が増えるが、それでも6割は「自宅」で感染している』のです。
「学校」での感染が一番多い「高校生」
「高校生」に相当する「16~18歳」のデータを見てみましょう。
この年令で、初めて「学校等」が一番多くなります。
「学校等」は4割を超え、半分に近い割合です。
次に多いのは「自宅」で、こちらも4割を占めています。
3番目に「上記以外」が入ります。
「上記以外」は1割を超えており、他の年令とは大きく異なります。
これは高校生になって、自分の意思で行動する範囲が広がり、自宅や学校以外の施設に出入りする機会が増えるからでしょう。
『高校生は、「学校等」での感染が多く、自分自身でも感染予防を心がける必要がある』と言えるでしょう。
中学生までは「自宅」での感染が一番多い
ここで紹介した資料は、2021年の4月から7月に、政府のデータベースに登録された18歳未満の感染者のうち、感染した場所が分かっている人を対象にしたものです。
新型コロナがどこで感染したかを突き止めることは難しいので、感染場所がはっきりしている人は、全体の18%しかいません。
そのため、ここで紹介した数字は、厳密なものではなく、「そういう傾向がある」と受け止めるべきでしょう。
それでも、次のような傾向は分かります。
- 幼児から中学生までは、「自宅」での感染が、一番多い。
- 小学生以上は年齢が上がるほど「学校」での感染が多く、高校生では「学校」が一番多くなる
- 3~5歳の幼児の感染場所は「自宅」が一番多いが、福祉施設や学校等での感染も一定数ある
幼児から中学生までは、感染する場所で一番多いのは「自宅」です。
必要以上に「学校等」での感染を恐れず、家庭でも学校でも有効な、日常的な感染予防対策を教えましょう。
そして、高校生に対しては、家庭や学校以外の場所に、むやみに出入りしないことを含めて、感染予防の意識をもたせるべきでしょう。
なお、12歳以上については、ワクチン接種の対象です。
地元での接種状況や、本人の希望も確認しながら、ワクチンの接種を検討してください。