新規陽性者がピークを過ぎても、まだ安心できない東京の新型コロナ

[2021/9/4 00:00]

厳しい状況は終わっていない

東京都の新型コロナウイルス感染症は、深刻な状態が続いています。

新たに感染した「新規陽性者」は減少しはじめましたが、入院患者や重症患者の数が減りません。

新型コロナウイルスに感染しても、病院に入院できる人は13%に留まっており、8割以上の人は自宅療養を強いられる状況が続いています。

東京都の会議に提出された資料をもとに、現在の状況と、その対策を紹介します。

ピークを越えた「新規陽性者」

「新規陽性者」の動きは、曜日の影響を避けるために、過去1週間の平均値で判断されます。

東京都の新規陽性者の1週間平均は、2週間前の4,630人をピークに、ようやく減少に向かいました。

そして、9月1日時点では「3,290人」まで減少しています。

新規陽性者が減り始めたのは、歓迎すべき明るいニュースです。

ただし、これは感染がピークを過ぎたというだけであって、決して少ない人数ではありません。

今年5月の「第4波」では、ピーク時でも2,000人足らずでしたから、それを大きく上回っています。

出典:東京都

入院患者は、今がピーク

入院患者数は、新規陽性者が少なくなったにも関わらず、減っていません。

9月1日時点では「4,271人」が入院しています。

新規陽性者が少し減っても、ここ数週間に発生した患者が、まだ病床をふさいでいるのです。

確保されている新型コロナウイルス専用病床の「65.7%」が使用済みなので、入院できる人が限られてしまいます。

出典:東京都

重症者用病床の「96.9%」は埋まっている

また、人工呼吸器やECMO(エクモ)を必要とする重症患者も増えてます。

入院中の重症患者は、9月1日時点で「286人」に達しており、過去最多に近い状態です。

すでに、用意されている重症者用病床の「96.9%」を使い切っています。

つまり、新型コロナウイルスに感染し、重い症状になった場合でも、受け入れてくれる病院があるとは限らない状況なのです。

出典:東京都

8割の人は施設に入れない

ここまで、見てきたように、病院は満員の状態です。

では、新規陽性者には、どう対応しているのでしょうか。

9月1日時点で、療養が必要とされた新規陽性者の行き先を見てみましょう。

一番多いのは「自宅療養」で、ほぼ6割います。

そして、本来ならば「入院」が必要なのに、入院先の調整が付かない「入院・療養等調整中」の人が2割います。

つまり、施設に入れず、自宅で療養や待機をしている人が、全体の8割を占めているのです。

「入院」できる人は1割ちょっと、ホテルなどを借り上げた「宿泊療養者」を含めても、全体の2割しか施設に入れません。

つまり、今、新規陽性者となっても、ほとんどの人は自宅で療養するしかありません。

出典:東京都のデータをもとに編集部が作成

感染しないことを最優先に

ここまで見てきたように、東京都の新型コロナウイルス感染症は、まだ安心できる状況ではありません。

すでに病床は、感染した患者でいっぱいで、よほどの重症でない限りは、入院することもできません。

自宅療養中の死者は、先週1週間だけで「10人」に達しています。

準備なしに「自宅療養」になると、死亡する可能性さえあるのです。

では、どうすれば「自宅療養」を避けられるのでしょうか。

いまできることは、医療体制が落ち着くまでの数週間の間、新型コロナウイルスの感染を避けることしかありません。

まず、ワクチンの接種が可能な状態であれば、接種することを検討してください。

また、マスクの着用や、人が多いところを避けるなど、日常的な予防を続けてください。

そして、万が一の自宅療養に備えて、体温計やパルスオキシメーター(血中酸素濃度計)を用意しましょう。

パルスオキシメーターは、自治体から配布されることも多いのですが、普段から使い慣れておけば、自分の症状を把握することができます。

できれば、自宅療養に備えて、外出しなくても食料や飲料水が入手できるように、ネットスーパーなどの通販を確認しておきましょう。

東京都の新型コロナは、まだまだ安心できる状況ではありません。

もうしばらくの間、新型コロナに感染をしないように、予防に努めてください。

[シニアガイド編集部]