全国で9割を占め、「第5波」をもたらした「デルタ株」
危険性が高い「デルタ株」
新型コロナウイルスの特徴の1つは、遺伝子が変化しやすいことです。
いくつかある変異株の中で、いま、もっとも警戒されているのが「デルタ株」です
「デルタ株」は、感染力が強いとされていた「アルファ株」に比べても、「感染力が1.5倍強い」とされています。
また、「感染すると入院するほど重症化しやすい」「ワクチンの効果を弱める」などの可能性が指摘されています。
つまり、「これまでよりも、ずっと感染しやすく、しかも重症になりやすい」というやっかいな存在なのです。
その「デルタ株」が、全国でどれぐらい流行しているのかを調査した資料が、国の会議で公開されました。
「緊急事態宣言」が出ている都道府県を中心にデータを紹介します。
全国の9割を占める
この資料では、8月16日~22日に発生した新型コロナウイルスの陽性者のうち、5万4千人を対象に、変異株のPCR検査を行なっています。
「デルタ株」の割合は、全国で「89%」でした。
すでに、ほぼ9割を占めているのです。
県別に見ると、「群馬県」が95%で一番高く、「大阪府」が79%で一番低くなっています。
大阪では1カ月で2倍以上に増加
「デルタ株」は、どのように増えてきたのでしょうか。
まず、全国の状況を見てみましょう。
8月1日の時点では、デルタ株の比率は「67%」でした。
それから1週間ごとに、79%→85%→89%と増えています。
次に、現在、もっとも「デルタ株」が少ない「大阪府」を見てみましょう。
「大阪府」では8月1日時点では「35%」しかありませんでした。
それが、1週間ごとに54%→69%→79%と急速に増加しました。
デルタ株は感染力が強く、1カ月も経たずに、35%から79%と倍以上に増えてしまったのです。
次々登場する変異株が流行を長引かせる
下のグラフは、新型コロナウイルスの新規陽性者の数と変異株の割合を示したものです。
このグラフを見ると、「第1波」から「第4波」のピークは、それぞれ異なる変異株が占めていたことが分かります。
つまり、新型コロナウイルスは、次から次へと、それまで以上に危険な変異株が登場し、流行を長引かせているのです。
そして、8月末にピークを迎えた現在の流行を「第5波」とすれば、それは「デルタ株」によってもたらされていることが分かります。
「デルタ株」に対して、特別な予防方法はありません。
これまで通りに、基本的な感染予防対策を徹底するしかありません。
そして、「デルタ株」は感染力が強いことを考慮して、これまで以上に、慎重に行動してください。
参考:新型コロナ感染症の流行時期と通称(weekは週番号)
- 第1波:2020年4月(13~16week)
- 第2波:2020年8月(30~34week)
- 第3波:2021年1月(1~4week)
- 第4波:2021年5月(17~21week)
- 第4波:2021年8月(30~34week)