新型コロナの影響で、2年分の売上よりも大きな借金を抱えた「宿泊業」
新型コロナで事業が苦境に
新型コロナウイルス感染症の影響で、多くの企業が「減収」や「借金の増加」などの苦境にあることが分かりました。
これは、企業情報サービスの帝国データバンクの調査によるものです。
半分以上の企業が「減収」
帝国データバンクによれば、2020年度決算を終えた約10万社のうち、売上が「減収」となった企業が6割以上を占めました。
新型コロナウイルスの影響で、すべての企業のうち、半分以上が「減収」となったのです。
新型コロナの影響は、一部の企業の問題ではなく、多くの企業の課題であることが分かります。
3割近くも売上が減った「宿泊業」
前年からの「売上」の減収が、もっとも大きいのは「宿泊業」でした。
宿泊業の減収幅は「-28.5%」で、売上が3割近く減ったことになります。
次に多いのが「飲食業」で、こちらは「-17.4%」の減収となっています。
増収になった「通信業」
一方、増収が大きいのは、通信業の「電気通信・郵便」でした。
こちらは11%の増収となりました。
次に多いのが「教育」で、こちらも8%の増収となっています。
コロナ後も借金の返済が続く
事業の「減収」は、企業の借金が増えることにつながります。
その指標の1つである「有利子負債月商倍率」を見てみましょう。
これは、借金にあたる「有利子負債」を、1カ月の売上である「月商」で割った数字です。
すべての企業の平均では、前年度の「4.1倍」から、2020年度は「5.1倍」に増えました。
つまり、平均でも、1カ月の売上の5倍以上の借金がある状態なのです。
そして、減収が目立つ業種では、「有利子負債月商倍率」が大きくなっています。
例えば、「宿泊業」は、前年度の「14.1倍」から「25.7倍」に増えました。
つまり、もともと借金体質だったのに、現在は2年分の売上よりも大きな借金を抱えてしまっているのです。
同じように「飲食店」や「娯楽業」も、事業を継続するための借り入れが増えていることが分かります。
現在は、まだ新型コロナの流行の終わりさえ見えない状態が続いています。
そして、新型コロナの感染が一段落したとしても、今度は、背負ってしまった大きな借金を返さなければいけません。
「宿泊業」や「飲食店」は、外から見えている状態以上に、新型コロナによって影響を受けているのです。